こんにちは。steamc1awです。
2024年もなかなか山行に出かけられていませんが、梅雨の合間に晴れ予報が出ていたので、七夕(この年は東京都の選挙もありましたw)に北八ヶ岳エリアにある日本百名山「蓼科山」に登ってくることにしました。
ここは過去に登ったことがあるのですが、そのときは嫁さんが高山病で具合を悪くしてしまい、登頂はしたもののピンボケ写真を量産してブログ記事にできなかったという、我々にとってはいわく付きの山です。八ヶ岳エリアの中でも比較的手頃に登ることができる山ですので、ハイシーズンに向けた足慣らしを兼ねての再訪です。
山名 | 蓼科山 | 双子山 |
山域 | 八ヶ岳連峰 |
標高 | 2,531m | 2,224m |
登山日 | 2024年7月7日 |
天候 | 晴れ |
備考 | 日本百名山、信州百名山 |
大河原峠から登る蓼科山・双子山の魅力
- 7合目登山口からのピストン登山より歯ごたえあるコース
- 天祥寺原付近の快適な笹原歩き
- 双子山からの蓼科山の展望は見事
大菩薩嶺について
蓼科山(たてしなやま)は、八ヶ岳連峰の北端に位置する標高2,531 mの火山。諏訪から仰ぐと優美な円錐型に見えることから、諏訪富士の別名も持つ。頂上部はブロック状の溶岩で覆われており、樹林が育たず360度の展望がある。また、頂上には蓼科神社の奥社があり、登山口にあたる七合目にその鳥居が立つ。
Wikipediaより
計画した登山ルート
蓼科山は八ヶ岳連峰の最北端に位置する山。山頂には南西からと北東からの2方向からアクセス可能ですが、そこに至る登山口は選択肢がいくつも存在します。おそらく最もポピュラーなのが一ノ鳥居がある蓼科山7合目登山口。ここからはコースタイム2時間で登頂できますが、ピストン登山しかできないのが難点ですね。
今回選んだ登山口は、大河原峠。蓼科山山頂までのコースタイムは7合目登山口と変わらない2時間なのですが、ここを起点にすると体力にあわせて様々な周回コースを組むことができるのがメリットです。今回は天祥寺原から双子山、双子山を周回するルートを企画。体力自慢のハイカーなら蓼科山・北横岳の縦走なんかもできそうです。
このほか、南西方向から登ってくるメジャーな登山コースに、女乃神茶屋付近にある蓼科山登山口からのコースがあります。こちらは山頂までコースタイム3時間と、他と比べるとややロングコースになっていますが、冬期でも使えるのが特徴。7合目登山口、大河原峠ともに、アクセス路である蓼科スカイラインが冬季閉鎖するため、冬山登山する場合はこちらが人気の選択肢になるようです。
総歩行距離 | 10.5キロメートル前後 |
総獲得標高 | ⬆835メートル | ⬇835メートル |
標準コースタイム | 5時間45分ほど(ヤマケイオンライン) |
危険箇所 | 将軍平から山頂まで急傾斜の岩場 |
大河原峠へのアクセス
登山口は大河原峠となります。公共交通機関によるアクセスは登山バス含めて不可。マイカーでアクセスするにしても、茅野市と佐久市との境界あたり、わりと山奥深くに位置するため、蓼科山・北横岳エリアにある他の登山口と比べるとアクセスはあまり良くありません。
自家用車によるアクセス
関東近郊からアクセスする場合、中央自動車道を諏訪南インターチェンジまで進み、八ヶ岳西麓広域農道、通称「八ヶ岳エコーライン」を直進。そこから白樺湖まで国道152号線を登っていきます。蓼科スカイラインに入ると、間もなく7合目登山口ですが、それを通過して10キロほど直進していくと大河原峠です。
ちなみにこの蓼科スカイライン、大河原峠を通過してさらに進んでいくと「天空のリゾート」として知られた蓼科仙境都市の廃別荘群があり、そちらの趣味の方々には非常に有名なスポットになっています。道中にも蓼科仙境都市の看板がところどころあるので、興味をそそられる方は登山後、ドライブがてらに寄ってみてはいかがでしょうか。
道路のほうですが、舗装はしっかりしているものの、車のサイズによっては離合困難な幅員の箇所があるほか、ところどころガードレールがなかったり、スリリングな道のり(というのは大げさですが)です。ま、ドライブコースとして人気の道路なので、普通のドライバーなら問題ないと思いますが、若葉マークでいきなりやってくるとちょっと怖いかもしれません😅
駐車場のキャパシティは30-40台といったところでしょうか。この日は5時30分頃に峠に到着しましたが、先客は20台程度。下山してきた際も、午後15時手前くらいの時間で、ドライブを楽しみにきた車を含めて10台程度しかおらず、駐車場からあぶれることを心配しなくても良いのはメリットですね。
なお、ここは標高2,093メートルありますので、下界からマイカーで一気に登ってくると高山病になる可能性があります。私も似たような標高の麦草峠(標高2,120m)から北横岳を登る途中に高山病でリタイアしたことがあり、久々の登山だという方は、八ヶ岳パーキングエリア(標高936m)なりで前泊してくると安心だと思います。
駐車台数 | 40台前後 |
駐車料金 | 無料 |
トイレ | あり |
座標 | 35.73217578676075 | 138.8322880121017 |
ちなみに7合目登山口のほうは、大河原峠までの道中に通過した際はまだまだ余裕がありましたが、帰るときは路上にまで大量に車が溢れていましたので、こちらはある程度時間に気をつけたほうが良さそうです。
蓼科山・双子山山行の記録
大河原峠から将軍平・蓼科山荘
この日は、中央道の八ヶ岳パーキングエリアで車中泊して大河原峠へ。大河原峠には5時30分頃に到着。先客は20台程度でした。この日は蓼科山の山頂で最大風速13メートルという予報が出ており、車を降りると早速、かなりの風に吹き付けられます。スコーミッシュフーディーという軽量アウターしか持ってきておらず、もうちょっと厚手のアウターを持ってくればよかったかと早くも後悔。
峠からは、佐久市方面の展望が開けています。ここではまだ標高が足りておらず遠望はききませんが、浅間山など上信国境の山々の美しいシルエットを楽しむことができます。ドライブコースとして人気なのも頷けますね。
大河原峠にはおにぎり型のシルエットが特徴的な大河原ヒュッテがあります。完全予約制をとっており、おそらくですが予約宿泊客がいない限り営業しないスタイルではないでしょうか。Webサイトによると営業していれば軽食など提供しているらしいですが、この日は朝から午後まで営業している様子はなく、食事などアテにするのは止めたほうが無難そうです。
大河原峠は前掛山を経て将軍平、蓼科山に至るコース、滝ノ湯川沿いに蓼科山・北横岳の鞍部である天祥寺原に下るコース、双子山を経て双子池ヒュッテに至るコースのジャンクションになっています。蓼科山へのコースは、大河原ヒュッテの脇を直進。
大河原峠からは、まず蓼科山の前衛となる前掛山に登っていきます。大河原峠を出発してすぐは笹原とカラマツ帯ですが、数分も歩かないうちにの針葉樹林帯のなかへ。相変わらず風がキツイのでフード被りっぱなしで登りますが、体を動かしていると冷えは気にならなくなってきました。
北八ヶ岳といえば苔むした登山道が魅力の一つですが、この日は梅雨の中日だったので、連日の雨で苔も元気いっぱいでした。
最初なだらかな登山道は、じきにそこそこの傾斜に登りになります。岩がゴロゴロしていますが、八ヶ岳エリアではありがちなレベルで、そこまで登りづらいというほどではありません。これが下りだとちょっと嫌らしいですけど。登り区間は30-40分程度といったところでしょうか。
途中で大学の山岳サークルかな、学生と思わしき宿泊装備のグループに追い抜かれました。大河原ヒュッテは営業していなかったので、北八ヶ岳を縦走してきて双子池ヒュッテあたりに宿泊してきたのでしょうか。我々も早く宿泊登山に再チャレンジしたいのですが、最近の体力具合だと、テント泊装備を背負ったその地点で即行動不能に陥りそうです。この年の晩夏くらいにどこか挑戦できればなあ、というくらいでしょうか。
えっほえっほ登っていくと、じきに登山道は前掛山の肩に乗り上げて、傾斜もゆるやかに。今まで登ってきた東側斜面では見られませんでしたが、ここからは何度か縞枯れした区間を通過していきます。開放感があり、縞枯れした木々の間から蓼科山を望むこともできるのですが、木々が途切れた途端に強風が襲ってくるので、見た目ほど歩いていて気持ちよくはありません😓
しばらく平坦な道を歩いていくと「佐久市最高地点」と書かれた看板のある広場に出ます。標識によるとここは標高2,380メートルで、地形図をどう眺めてみても前掛山のピークとしか思えないのですが…前掛山の山頂は、この最高地点を少し過ぎた先、2,354メートル地点にあります。不思議ですね🤔
その前掛山の山頂ですが、佐久市最高地点を過ぎた先、将軍平と赤谷との分岐を右(赤谷方面)に進む必要がありますが、この時点で計画していたタイムよりやや遅れが出始めていたのと、山名の書かれたプレートが掛かっている他はこれといって何もないらしいので、ここはスルーして先に進むことに。
佐久市最高地点を過ぎると、あとは将軍平まで緩やかな下りです。途中、毛むくじゃらの犬の散歩に遭遇。調べてみるとオールド・イングリッシュ・シープドッグというのだそうで、見事な長毛です。柴犬とかチワワとかは山でもちょこちょこ遭遇しますが、大型犬に出くわすのはなかなかレアです。さすがにこの図体で蓼科山山頂は無理だろうな…😅
蓼科山荘から蓼科山山頂
佐久市最高地点から15分ほど緩やかに下っていくと、前掛山と蓼科山の鞍部である将軍平に到着。ここには蓼科山荘がありますが、その手前で視界が開けて蓼科山の山容を間近に望むことができます。なかなか迫力ある眺めなので、7合目登山口から登る人もぜひ味わって欲しいですね。山荘まで行ってしまうと、木々に阻まれてここまで見事な眺めにはなりません。
蓼科山荘は古びた木造りの建物が趣を感じさせるこぢんまりとした山荘。収容人数は20人にも満たない程度ですが、今まで何度か蓼科山に登った限りでは安定して営業している印象があります。Tシャツを並べて飾っていたり、シェードを張って小物を販売していたり、どこか小洒落た山荘です。逆に、軽食類はあまりプッシュしている記憶がありませんね。
この将軍平で、今まで歩いてきた大河原峠からの登山道、7合目登山口からの登山道、そして天祥寺原からの登山道が合流します。まだ朝早いこともあって、天祥寺原から登ってくる人は見かけませんでしたが、7合目登山口方面からは続々とハイカーが登ってきていましたね。
山荘から眺めると、もう蓼科山は目と鼻の先で、実際ここから山頂まで標高差は200メートルそこらしかありませんが、この先が蓼科山の核心部で、岩場の急登が待っています。蓼科山荘を出発して割とすぐから急登が始まり、そこから山頂手前まで30-40分ほどノンストップです。
大きな岩がゴロゴロしており一見難易度が高そうに見えるかもしれませんが、足を置く場所がしっかり確保されているので、歩きにくさは然程ありません。下のほうに鎖場が一箇所ありますが、少なくとも登りではクサリを使う必要性はないですね。高所恐怖症の嫁さんも何事もなく登っており、比較的ビギナーの初心者でもじっくり攻めれば、無事に登りきることができる山だと思います。
15分ほど樹林帯の中を登っていくと、森林限界を抜けて青空がお出迎え。振り返ると、先ほど通過してきた前掛山と、その奥に上信国境の山々、さらに奥には遥か遠く上越国境の山々までを見渡すことができます。これは絶景なので、休憩を兼ねてしばらく景色を楽しんでいくと良いでしょう。
森林限界を抜けた少し先あたりで、黄ペンキで書かれた「頂上まで十五分」の文字が。ここまで来ると、あと少し登れば傾斜も緩やかになってきますので、文字どおり山頂はもう遠くありません。
頂上まで15分のペイントの地点を過ぎて、しばらく歩いていくと、急登区間は終わり。蓼科山の肩部に乗り上げて緩やかな登りになります。ここまで登ってくると、周囲の見晴らしもよくなってきて、南八ヶ岳の山々まで望むことができるようになります。
そのまま進んでいくと、じきに蓼科山頂ヒュッテが見えてきます。名前のとおり、蓼科山頂直下にある山小屋で、30名ほどのキャパシティを有する小さな山小屋。真空管アンプを含むオーディオシステムが設置してあるという、ちょっと風変わりな山小屋です。CDやレコードを持参して好きな音楽を流すことができるとのこと。
売店の営業は9時からなので、登頂した時点ではまだ小屋は閉まっていました。コーヒーや軽食なども提供しているそうなので、ランチタイムに登頂する方は、試してみるとよいのではないでしょうか。
蓼科山頂ヒュッテから、蓼科山の山頂までは数分の距離。山頂は噴火口跡で、大小様々な岩塊が転がっています。岩が転がっているほかは広くて平坦なので、ピクニック気分で昼食やコーヒーを楽しむことができますね。ネット上の解説によると100メートル四方ほどの広さがあるらしいです。
大体のハイカーの人たちは山頂の標識付近か、山頂西端の方位盤付近に集まっていますが、この広さのおかげで座るスペースは確保し放題。この日は山頂で最大風速12-13メートル/秒の予報が出ていたのですが、ちょっと山頂の内側に入れば風を避けることができたのは有り難かったですね。狭い山頂で10メートル/秒オーバーの風が吹いていると、休憩どころじゃないですから💧
蓼科山頂ヒュッテから近いのは山頂標識ですが、天気が良いうちに写真を撮っておきたいので、まずはアルプスを見渡すことができる標識の方向に向かいます。
山頂からは、南から八ヶ岳、南アルプス、中央アルプス、北アルプスと、なかなかのパノラマ展望を得られますが、山頂が広いので、ピークに立てば左右前後の大パノラマが手中に…というわけではありません。方位盤のあたりから南北アルプスを眺めて、2,531メートル地点にある標識のあたりから南八ヶ岳の展望を眺めて、と山頂を歩き回ることになります。
どちらかというと、左右にアルプスのパノラマ展望が得られる方位盤のほうが人気な様子。人だかりができて、ひっきりなしにハイカーが記念撮影していました。ここは南アルプスから北アルプスまでワイドな展望があるので、方位盤を使って山名クイズが楽しめますね🤭
ここからは再び山頂を横切って、山頂標識のある方向へ。途中には蓼科神社の本宮があります。石を積み上げた土台のうえに祠が祀られ、鳥居があるというシンプルな神社。ここから将軍平への下りは事故る可能性もあるので、無事な下山をお祈りしていくのもよいかもしれません。
2,531メートル地点の標識は山頂の東側にあります。ここからは何といっても北横岳の眺めが見事ですね。北横岳は標高2,472メートルですので、僅かですがこちら蓼科山のほうが標高があります。
この日は風が強いからでしょうか、レンズ雲があちこちに出来ており、北横岳のてっぺんにも大きなやつが鎮座していました。ちょっとだけ北横岳の山頂付近にガスがまとわりついていましたが、風が強いのであっという間に流れていきます。
蓼科山山頂から双子池ヒュッテ
一通り景色を楽しんだので、ここからは将軍平に向かって下山です。ヤマレコの記録によると、蓼科山頂ヒュッテまで登ってきてから、下山のために同ヒュッテを通過するまでに50分ほど使っていました。ここは山頂が広いので、眺めを存分に楽しみたい場合、休憩を抜きにして移動だけで20分近くかかります。コースタイムの計画時には注意。
このときには既に9時を過ぎていたので、蓼科山頂ヒュッテが開店していました。さすがにこの時間に軽食を頼んでいる人はおらず、皆さん土産物を眺めているだけでしたが。
ここからの下りですが、登ってくるハイカーの数も増えてくるため、すれ違いのためにあちこちで滞留が発生しています。前も後ろもつかえているので、カメラを構える暇もなく、流れに従って粛々と降りていくのみ。
下りは傾斜が結構キツイので、注意して通過したほうが良いでしょう。ヤマレコをみても、転倒事故のデータが何件か登録されています。今日のように晴天、かつ渋滞の流れについていくだけであればそこまで心配はいらないと思いますが、足元が濡れている日などは要注意だと思います。
蓼科山荘に戻ると、目指す天祥寺原は向かって右手になります。しばらく休憩しながら眺めていましたが、殆どのハイカーは向かって左、7合目登山口に向かって下山、たまに直進して大河原峠を目指すハイカーがおり、天祥寺原に向かうハイカーはゼロ。メジャーな登山口に直結しているわけではないので予想はしていましたが、マイナーなコースのようです😅
天祥寺原までの登山道ですが、荒れているとか不明瞭な箇所があるとか、そういったことはありませんがガレ気味で思ったようにペースが上がりません。皆さん考えることは同じなのか、ところどころコース外に踏み跡がついており、コースアウトを気にしないのであればこちらのほうが歩きやすいです。
人気がないのは間違いないようで、天祥寺原との分岐ポイントまでですれ違ったのは2組のみ。あと分岐ポイントあたりで後ろから追いついてきたペアの登山者がいましたが、天祥寺原方面に向かった我々を追い越してくることはなかったので、竜源橋のほうに下っていったのではないかと思います。
しばらく、木々の間のガレた登山道を降りていくと、正面の展望が開けて崩壊跡地と思わしきガレ沢に出ます。正面に北横岳がドドーンと構えており、なかなかの眺めですが、標高も下がってきているのでとにかく暑い。この日は風が強かったので随分と助かりましたが、ここを無風の夏の日に通過するのは結構イヤですね~💧
登山道は、このガレ沢を下ってみたり外れてみたり、気まぐれにくねくねと北横岳との鞍部に向かって下っていきます。傾斜が緩くなってくると天祥寺原・将軍平の分岐は間もなく。
登山道が樹林帯を抜けて笹原に出ると、天祥寺原・将軍平の分岐はすぐそこ。ここは登山道が滝ノ湯川沿いにつけられているのですが、部分的に湿地帯になっており、特に分岐付近は泥濘になっていました。お気に入りのハイキングシューズをどっぷり泥につけてしまったので、雨後の山行時は要注意です。
分岐ポイントからは、向かって右に進むと竜源橋。これはビーナスライン沿いにある登山口で、駐車場はかなり狭いのですが竜源橋バス停があります。まあ、ビーナスライン沿いから蓼科山に登る場合は女乃神茶屋から登るのが一般的だと思いますので、どちらかというと北横岳に裏側から登りたいとか、そういう需要を満たすための登山口じゃないかという気もしますね🤔
天祥寺原へは左に進みます。ここからしばらくはシラビソと笹のコンビネーションの中を、緩やかな登りが続きます。シラビソといっても、樹林帯ではなく笹原の中にシラビソが点在しているというような箇所も多く、快適なハイキング気分が味わえますね。
このあたりのハイライトとしては、気持ち良い笹原ハイキングもそうですが、蓼科山の見事な眺めを楽しめるのも大きな評価ポイントではないでしょうか。蓼科山の山体というだけならば蓼科山荘からもある程度は望むことができるのですが、迫力を感じられる丁度よい距離感、遮るもののない眺め、天祥寺原に降りてきた人だけのお楽しみですね。
次の分岐ポイントは、大河原峠と亀甲池との分岐ポイント。地図上はここが天祥寺原ということになっています。とはいえ、この分岐ポイントはシラビソの密度が高い箇所にあるので、あまり開放感はありませんね💧
まっすぐ進むとマイカーを駐車している大河原峠。地形図をみる限り緩やかに登っていくだけです。この時点で予定より1時間強の遅れとなっているため、大河原峠に直行という選択肢もありましたが、まあこのままのペースで遅れを積み上げたとしても夕方までには大河原峠まで周回してくることができる計算なので、計画どおりに亀甲池に向かうことにします。
分岐ポイントから亀甲池へは、北横岳と無名の2,120メートルピークとの間の鞍部を通過します。分岐を過ぎてすぐは鞍部に乗り上げるため若干の登りがありますが、あとは平坦。しばらくは涸れ沢沿いに樹林帯をトラバースする道ですが、間もなく笹原に出ます。
ここも結構マイナーな区間だという気がするのですが、笹が刈り込まれた跡があり、どなたかわかりませんが整備してくれているようです。笹原が終わり、再び樹林帯に戻るとじきに亀甲池です。
亀甲池は「亀甲構造土」という亀甲模様が池底にみられることから名付けられた名前のようですが、この日は梅雨の中日だったため、池の水位がかなり上がっており残念ながら亀甲模様を見ることはできませんでした。普段は池のふちに立っているのであろう看板が部分的に水没しており、かなり水位があがっているのだと思われます。
亀甲池では北横岳北峰に向かう登山道が分岐していきます。ちらっとみた感じ、登山道のかなり近くまで池の水が迫っているようにみえたので、注意が必要かもしれないです。
ここからは大岳ー双子山のラインを超える峠に向かっての登り。天祥寺原に降りてきてから誰ともすれ違いませんでしたが、ここでようやく初老の夫婦と思わしきハイカーとすれ違い。もう正午も過ぎたこの時間帯だと、大河原峠から双子山から双子池、亀甲池と周回してくるコースでしょうか。
峠の裏側は、だいぶ雰囲気が変わってシダ植物が目立つ原生林になります。亀甲池から登ったのと同じくらいの標高を下りますね。ところどころ岩が転がっている他はさほど歩きづらい下りではないはずなのですが、そろそろ疲れが溜まってきてペースが上がりません💧
20分強ほど(疲れていなければもっと早いと思います…)下っていくと双子池の辺にでます。ここからは双子池ヒュッテまで、双子池の外周をまわっていきます。
双子池ヒュッテまでは、斜面沿いに双子池ヒュッテのテント場が点在しており、網の目のように道が分岐していますが、適当に進んでいって問題ないはず。亀甲池と同様に双子池も随分と水位があがっているようで、双子池ヒュッテのテント場が幾つか水没している様子が伺えました。
双子池ヒュッテから大河原峠
双子池ヒュッテは、メガネ型に雄池・雌池と分かれている双子池のちょうど中間地点に建っている山小屋。ここまで通ってきたのが雌池。ヒュッテの反対側にあるのが雄池ですが、どうしてかこちらのほうが透明度が高いです。ヒュッテの水は雄池から引いているようですね。
この双子池ヒュッテ、経営は蓼科山荘と同じ女将さんがやっているようです。蓼科山に登っていくハイカーがひっきりなしに行き来している蓼科山荘と比べると、閑静な雰囲気の山小屋で、我々が到着した際には3人しかお客さんいませんでした。
蓼科山荘のようにお土産を並べたりはしていませんが、食事には工夫を凝らしているようで、信州牛のカレー、鴨ロースト丼、豚角煮おこわなど、魅力的なメニューが並んでいます。だいぶお腹も空いていたので悩みましたが、ここで食事していくと下山が16時近くになってしまいそうなので、ここは我慢。いずれ大岳・北横岳登山あたりに絡めて休憩していきたいですね。
双子池ヒュッテからは、天狗ノ露地を経て大岳に向かう登山道、大河原林道を通過して雨池に向かう道、そして双子山に向かう登山道が伸びています。我々が向かう双子山まではコースタイム45分ですね。
双子山ヒュッテを過ぎてしばらくは笹原の中の緩やかな登り。じきに双子山への稜線に乗り上げると、登山道は向かって左に向かってカーブしていきます。かなり疲労が溜まっていたので覚悟していましたが、思っていたほど傾斜はキツくなく、そこそこいいコースタイムで登ることができたかなと。
30-40分ほど登っていくと、山頂エリアに到着。双子山の山頂は台地状に平たくなっているのですが、なんとこの一帯全てが開けた草原になっています。双子山は、双子池から大河原峠に向かう際の通過地点としか思っておらずノーマークだったのですが、予想外の見事な展望に大興奮でしたね。
双子山は標高2,223メートルで、蓼科山に比べると遠望は望めませんが蓼科山のような360度のパノラマが楽しめます。ここからの見ものは大岳でしょうか。蓼科山山頂からだと、どうしても北横岳山頂のほうが目立ってあまり印象的ではない山ですが、ここからだとゴツゴツした岩石帯まで見えており、なかなか特徴的な山容。双子池からのコースは難路だそうですが、登山欲が掻き立てられます。
地形図をみると双子山には2つピークがありますが、実際に歩いてみるとほぼ平坦な印象を受けます。双子山の山頂は双子池からみて奥にあるピークで、ちょっと古そうではありますが山頂標識があります。とても良い眺めかつ広さもありピクニックには丁度良いのですが、時間が遅いからか、この日は誰もおらずでした。
山頂からは樹林帯へ…と思いきや、意外と開けた箇所が多いです。今まで登った山だと、車坂峠から黒斑山への登山コースがちょっとイメージ近いですね。樹林帯を笹原とを繰り返しながら標高を下げていきます。
しばらくすると、前掛山の斜面につけられた蓼科スカイラインの道筋が、そしてもう少し下っていくと大河原ヒュッテの三角屋根がみえてきます。ここまでくれば大河原峠まではあと少し。大河原峠に到着した頃には15時近くになっていました。計画どおりであれば13時過ぎ頃に到着していておかしくないはずなのですが、だいぶ遅かったですね😮💨
大河原峠から周回する蓼科山、双子山の感想
ということで、大河原峠から蓼科山、双子山を周回する山行記録をお届けしました。
まず蓼科山ですが、片道2時間と手頃なコースタイムで登頂できるにも関わらず、広大な山頂から大パノラマを楽しめるのだから、ハイカーが押し寄せるのも頷けます。緩やかと言われる北八ヶ岳エリアにありながら山頂直下で歯ごたえある急登を体験できるのも良いですし、途中に蓼科山荘、蓼科山頂ヒュッテと山小屋が2つあるのも安心できる。
周回コースを選ぶ理由としては、双子山からの眺めがまずひとつ。あと亀甲池から双子池の区間は蓼科山周辺と雰囲気が異なり、北八ヶ岳らしい神秘的な光景が広がっている点でしょうか。いわゆる「もののけ姫」的な光景を楽しむことができます。
初心者の方がとりあえず蓼科山に登ってみたい、という場合は7合目登山口からピストンするのが手っ取り早くはありますが、コースタイムはあまり変わりませんし、峠そのものの眺めも良いことを考えると大河原峠起点も結構オススメできると思います。
山行当日の装備
この日は蓼科山山頂にて最低気温13℃、最高気温20℃、風速13メートル/秒という予報。山行記録にて書いたように、この風速だと最低気温13℃でも峠は寒かったです。風速13メートル/秒だと体感温度が14℃くらい下がりますからね。とはいえ吹きさらしの稜線を歩かされるようなことはなく、コースの大部分は樹林帯なので、頂上で休憩するのでなければ防風アウターはそこまで気にする必要はないかもしれません。
風が吹かない場所では最高気温20℃の予報でも照りつける太陽が熱く、帽子などの熱中症対策は必須。特に天祥寺原あたりまで標高を下げるとかなりの蒸し暑さでしたので、しっかり水分補給できるよう水やスポーツドリンクも多めに持っておいたほうが良いと思います。
登山道具
ベースレイヤー | finetrack ドライレイヤーベーシック finetrack ドラウトゼファージップネック |
ミッドレイヤー | – |
アウターレイヤー | Arc’teryx Squamish フーディー |
パンツ | ワコール CW-X スポーツタイツ Arc’teryx Russet Short ’12 |
アクセサリ | – |
シューズ | Salomon ULTRA 4 MID GTX |
リュックサック | Osprey Mutant 22 |
撮影道具
カメラ | Sony a7R III Sony a7 II Olympus OM-D EM1 Mark2 |
レンズ | Zeiss Batis 2/40 CF Zeiss Batis 2.8/18 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro |
アクセサリ | ー |
コメント