こんにちは,steamc1awです.
ようやく天候に恵まれて決行できた北アルプスのテント泊登山.三股を起点とした蝶ヶ岳から常念岳周回コースの後編となります.まだ読まれていない方はそちらからどうぞ.
蝶ヶ岳ヒュッテを6時に出発して16時過ぎに下山する予定だったですが,思ったよりハードな稜線歩きに難儀した挙句,前常念岳からの下りで疲労による大幅タイムロスから日没後の18時過ぎに下山という情けない結果に….その顛末も含めて参考にして頂ければと思います.それではどうぞ😥
山名 | 常念岳 |
山域 | 飛騨山脈(北アルプス) |
標高 | 2,857m |
登山日 | 2021年10月3日 |
天候 | 晴れ☀️ |
備考 | 日本百名山,信州百名山 |
常念岳について
常念岳は、飛騨山脈(北アルプス)南部の常念山脈にある標高2,857 mの山である。山体すべてが長野県に属し、松本市と安曇野市にまたがる。安曇野からは全容が望め、ピラミッド型のその端正な山容は一目瞭然ですぐ見つけられる。常念岳の北側の山体は花崗岩質からなり、南側の不変成古生層と大きく異なる境界となっている。
Wikipediaより
常念岳の登山コース
一ノ沢コース:一ノ沢登山口から常念乗越を経て常念岳に至るコース.
三股コース:三股から前常念岳を経て常念岳に至るコース.
この他,常念山脈の稜線を北に向かえば横通岳,東天井岳を経て大天井岳へ,南に向かえば蝶ヶ岳へとたどり着くことができます.いずれのコースも標準コースタイムは大きく変わらず,一ノ沢コースが6時間ほど,三股コースが6時間半ほど.頑張れば日帰りも可能です.
今回は三股から蝶ヶ岳登頂後に常念岳に向かう周回コースなので,常念山脈の稜線を蝶ヶ岳から常念岳に向かい,その後は前常念岳から三股に下るというコースです.
常念岳登山の山行記
蝶ヶ岳ヒュッテで迎えるご来光
ご来光は5時過ぎとのことだったので5時に起床し,三脚を担いで外へ.
上半身はファイントラックフローラップフーディ(ソフトシェル)にポリゴン2UL,下半身はミレーティフォンパンツという,手持ちのなかでは最も防寒性のある装備ですが,まあまあ寒い.とはいえ前日夜に吹き付けていた風は穏やかになってくれました.
夜明けが近づくにつれ多くのハイカーが各々のテントから出てきてご来光に備えますが,赤らむ空を横目に常念岳などに向かって出発するパーティもちらほら.
この朝は松本盆地の広範囲に低い雲が垂れ込めており,蝶ヶ岳ヒュッテから東を眺めると一面,カーペットのような雲海が広がるという素晴らしい条件でのご来光.
朝日が地平線から姿を表すと「おおー」という感嘆の声があちこちから聞こえます.自分もご来光は初経験でしたが,雲海に恵まれたこともあって,まさに息を呑むような光景でした.テント一式背負って登ってきた甲斐があるというもの.
西を眺めると,穂高連峰と槍ヶ岳が美しく染まっていく.
写真にはできませんでしたが,日出前の暗い時間帯には,涸沢から北穂高岳,奥穂高岳を目指してザイテングラートや南陵を登っていくハイカーたちのヘッドライトが光の列をなしているのを肉眼でも視認することができ,これも幻想的な眺めでした.
しばらく時が経つのも忘れて撮影していましたが,すっかり日も昇ってきたところでテント撤収に着手.縦走などはせずそのまま下山する予定なのか,一通りご来光を堪能したあとはテントに引返していくパーティも散見されました.
蝶ヶ岳ヒュッテから蝶槍
テントを撤収し終わって蝶ヶ岳ヒュッテを発ったのは6時15分頃と,やや予定から遅れての行動開始.まず目指すは標高2,655メートルの蝶槍.蝶ヶ岳から蝶槍まではなだらかな稜線をのんびり歩いて行くだけの楽しい楽しい行程となります.
昨日に引き続き,向かって左手(西側)には穂高連峰.穂高連峰は蝶ヶ岳のちょうど西方にあり,常念岳の西方には槍ヶ岳が位置するため,常念岳に向かって歩いていくにつれ槍ヶ岳が近づいてきます.向かって右手(東側)は松本盆地で,北に向かうにつれ雲が途切れてきました.
横尾へ下る分岐を過ぎると,蝶槍はもうすぐ.蝶ヶ岳と常念岳とを繋ぐ稜線上に数十メートルほど突き出た小ピークで,ここから先の常念岳側はしばらく樹林帯のアップダウンとなります.逆に常念岳から蝶ヶ岳に向かう場合には,最後の難所ということに.
蝶槍から常念岳
蝶槍を過ぎてしばらくすると,樹林帯に.蝶ヶ岳と常念岳の間はずっと森林限界の上だと思っていたので,これは予想外.このまま下ると駐車場についてしまうのでは😂と言いたくなるような下り坂をおりていきます.これは登り返すの結構きつそうだなあ.
鞍部に「標高2,462メートル」という知りたくない情報が書かれた看板が置いてあります…蝶槍は標高2,655メートルなので,あっという間に高度を200メートルも下げた計算です💦
鞍部には池がありますが,落ち葉だらけで良い絵にならず.
そこからは2,592メートルピークを目指して樹林帯を登っていきます.この頃になるとすっかり夏模様に逆戻りしてきて,起床してから履きっぱなしだったミレーティフォンパンツでは暑すぎ.適当なところで樹林帯に隠れてショートパンツに履き替えます.
昨日からの疲労か,2,592メートルピークへの登りで早くも疲労を感じてきたので,ピーク付近で小休憩し,次の2,512メートルピークに向けて出発.2,592メートルピークからの下り途中で樹林帯は終わり,再び巨大な常念岳のピークを眺めながら歩いていきます.
疲労困憊していたおかげで,この辺まできてようやく気付きましたが,ちょうど紅葉が見頃を迎えており,斜面のあちこちが鮮やかな黄色に色づいていました.
2,512メートルピークが,常念岳までの最後の小ピーク.ここから最低鞍部まで下ったあとは常念岳の山頂に向かってひたすら登っていくことになります.つまりこの小ピークからは遮るものなく常念岳を望むことができる.
まず小ピークから最低鞍部まで降りると,そこから400メートルという結構な標高差を登り返していくことに.急登というほどキツいわけではないのですが,とにかく疲労が蓄積していてテンポよく歩けない.ここまで10組近いハイカーに抜かれていますが,この最後の登りでも2組のハイカーに抜かされるという体たらくです.
山頂直下のあたり,岩塊がゴロゴロ転がっていて歩きにくい区間がありますが,無事に通過し山頂に到着.到着は12時過ぎ.コースタイム5時間ほどのところを6時間超かけているので,休憩込みでもやや遅めか.多数のパーティに抜かれたので,蝶ヶ岳から向かってきたハイカーの中では最後尾の到着なのではないでしょうか😂
常念岳から三股駐車場
常念岳頂上からは東西南北いずれの方向も展望が開けており,槍ヶ岳を望むことができる西方向,穂高連峰と谷筋を流れていく梓川を望むことができる南西方向,遠く大天井岳や燕岳まで山並みが連なっている北方向の眺めが秀逸です.
頂上は狭いわけではないものの,岩場となっているため大人数パーティでの休憩には不向きで,そのような場合には常念小屋まで下ってしまったほうが良いかなと思います.
常念岳頂上ではちゃんとした昼食を食べるわけでもなく,行動食補給と写真撮影で30分ほど過ごして下山したように記憶しているのですが,ヤマレコのGPSログをみると丸々1時間しっかり山頂で過ごしているので,だいぶ体力を消耗していたのだと思います💧
山頂を後にして北側斜面を下っていくと,まずは三股登山口との分岐.山頂からみて右折すると前常念岳を経て三股駐車場へ,直進すると常念小屋,大天井岳,一ノ沢登山口方面となります.分岐から北側正面に見えるのは横通岳,鞍部となる常念乗越には常念小屋.常念小屋から樹林帯を右手に伸びていくのが一ノ沢登山道ですね.
実は今回,常念岳ではなく蝶ヶ岳を初日に持ってきたのは,三股から登ってきた場合にテント装備を背負ったまま常念岳に登るか,常念小屋に降りて(1時間)から常念岳に登り返す(1時間20分)ことになるのが嫌だったからなのですが,三股方面に歩いてしばらくすると,常念小屋への巻き道がつけられていました….
分岐からは前常念岳まで比較的なだらかな下り.ところどころガレ気味な区間があって歩きにくいですが,それ以外は快適な稜線歩きが楽しめるでしょう.
1時間ほど歩いて前常念岳に到着.ここには天候が急転したときなど一時凌ぎに使えるのかな?というサイズのちんまりした小屋があります.そして,事前調査不足で認識していなかったのですが,ここから先がどうしてなかなかの難所でした.
まずは岩塊が積み重なる区間を,岩の間を縫うように通り抜けていく.私は身長もあるのでサクサク進めるのですが,嫁さんがガレ場にせよ岩塊にせよ苦手なので,かなりペースダウン.そこをようやく抜けたと思ったら,今度はサラサラした砂と浮石だらけの急傾斜地.ちょっと気を抜くと途端に足元をズルっと持っていかれるので,ここも気を抜けない.
樹林帯に入る梯子までたどり着けば難所は終わり.
ここからはひたすら樹林帯を下っていくだけな簡単なお仕事.…のはずだったのですが,標高2000メートル手前あたりで私の足が悲鳴をあげはじめてしまいペースダウン.しまいには筋肉疲労でマトモに足をあげられなくなり,ロボット歩きで下山するという醜態を晒す羽目に.
ほんと足が動かなかったですねこの時は.しかもテント泊装備を背負っているので上半身も疲れているわけで,座って休むと立ち上がるにも一苦労.最後はそのへんの岩やらに寄りかかって休憩してました.第二次世界大戦のニューギニアだかの戦記で「座ると立ち上がれなくなるから寄りかかって休む」ということが書かれていたのですが,まさか同じ状況になるとは思いもよらなかった😰
そんな,数分歩いては休み,また歩いては休み…という大幅ペースダウンのおかげで,三股から20分ほど手前のあたりでタイムアウトし日没.もちろんヘッドライトは持っていたので下山を続けましたが,想定外のところで日没を迎えるのは結構焦りましたよ.
谷間の暗闇にビビリ散らしながら三股の分岐に到着したのが18時過ぎ.そこから暗い林道をさらに下って駐車場手前のゲートに到着したのは18時30分.標準コースタイムだと6時に蝶ヶ岳を出発すれば三股には15時頃到着するという計算です.休憩時間込みでも17時過ぎには到着するだろうと思っていたのですが,完全に己の体力を読み誤りましたね~
蝶ヶ岳から登る常念岳の感想
ということで,三股からの蝶ヶ岳ー常念岳縦走山行の後半部分をお届けしました.
楽しい楽しい稜線歩きがもっと続くと思っていたのですが,まったくの見当違い.一般的にイメージされるような稜線歩きは蝶ヶ岳から蝶槍までくらいで,あとは2,512メートルピークまで樹林帯,そこからはひたすら常念岳頂上への登りというコースでした😭
やはり反省はタイムアウトと日没でしょうね.テント泊は7月に八ヶ岳で経験したのですが,その時はテント泊といっても重量級の装備は行者小屋まで担ぎ上げるだけで,残りはサブザック行動でした.今回は終始テント泊装備を背負っての行動だったので,予想以上に体力の消耗が激しく,終盤で激しくペースダウンする原因になったなあと.
朝の蝶ヶ岳から眺めたご来光は最高だったのですが,肝心の常念岳は「常念岳直下の登りがキツかった」「下りの終盤でロボット歩きになった」「下山前に日没」くらいしか定かな記憶がないので,しっかり体力をつけたうえで再訪したいです.
山行当日の装備
蝶ヶ岳の記事でも書きましたが,マウンテンシューズ寄りとなる「Salomon X ALP MID LTR GTX」ではなくハイキングシューズの「Salomon X ULTRA 3 MID GTX」で出撃.蝶ヶ岳新道と異なり常念岳への縦走路,三股への下山路ともに岩場がちらほらありますが,靴のソールが柔らかくて苦労したという感覚はなく歩き通せました.
登山道具 | finetrack スキンメッシュ finetrack メリノスピンライト finetrack ドラウトクロー finetrack フロウラップフーディ Salomon ショートパンツ ワコール CW-Xスポーツタイツ Salomon X ULTRA 3 MID GTX Osprey AETHER PRO 70 |
宿泊道具 | Snow Peak FAL Pro.air 3 Snow Peak Bacoo 350 finetrack ポリゴン2UL Millet TYPHON 50000 パンツ |
撮影機材 | SONY a7ii OLYMPUS OM-D E-M1 Mark2 OLYMPUS OM-D E-M10 Zeiss Batis 2/40 CF LAOWA 10-18mm FE ZOOM M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm PRO SLIK SPRINT MINI II |
メインの宿泊装備となるシュラフは下限温度1℃の「Bacoo 350」.ポリゴン2ULとティフォンパンツを着込んでこのシュラフに潜り込んでいましたが,この季節だとまだまだ快適に過ごせましたね.
コメント