こんにちは.steamc1awです.
2022年は春の大型連休で八ヶ岳あたりにテント泊で登りたいなと思っていたので、そのための足慣らしとして奥秩父山塊の武甲山からの縦走コースにチャレンジしてきました。
都内から手軽にアクセスでき、かつ難易度も手頃ということで人気の山ですが、小持山・大持山を絡めた縦走ルートにすることで総歩行距離13キロメートル、獲得標高1400メートル程と、そこそこ歯応えのある山行を楽しむことができるようになります。
山名 | 武甲山 | 小持山 | 大持山 |
山域 | 秩父山地 |
標高 | 1,304m | 1,273m | 1,294m |
登山日 | 2022年4月30日 |
天候 | 晴れ☀ |
備考 | 日本二百名山 |
武甲山は、埼玉県秩父地方の秩父市と横瀬町の境界に位置する山である。秩父盆地の南側にあり、標高は1,304メートル。武甲山は北側斜面が石灰岩質であり、石灰岩の採掘が盛んに行われている。石灰岩採掘により山容の変化が著しく、旧山頂は既に失われている。
Wikipediaより
武甲山の登山ルート
生川(表参道)コース:一の鳥居(生川登山口)から不動滝を経て武甲山に至るコース.
橋立コース(裏参道):浦山口駅から林道橋立線,長者屋敷頭を経て武甲山に至るコース.
秩父市・横瀬町・飯能市の境界一帯に登山道が存在するため、歩行距離さえ気にしなければ色々なアプローチが可能ですが、一般的な登山ルートはこの2つでしょうか。
2つのうち、生川コースは駅から登山口まで距離があるため自家用車向きで、公共交通機関を利用するのであれば橋立コースのほうがアプローチしやすい。今回は自家用車でアクセスするため武甲山御嶽神社に駐車し、武甲山から小持山、大持山を縦走して武甲山御嶽神社に戻ってくるという周回コースを採用することに.
武甲山御嶽神社一の鳥居へのアクセス
公共交通機関によるアクセス
生川コースの登山口となる武甲山御嶽神社一の鳥居へは公共交通機関による直接のアクセスはできず、西武秩父線横瀬駅から1時間30分ほど歩いてアクセスしなければなりません。秩父丸通タクシー公式サイトによると西武秩父駅から片道20分、2,800円ほどとのことで、ある程度の人数がいるのであればタクシーで乗りつけるのが一番手取り早いかもしれませんね。
自家用車によるアクセス
Google Mapsだとその時々で経路が変わりますが、大抵は首都圏中央連絡自動車道の青梅インターチェンジにて下車するよう案内されます(たまに狭山日高インターチェンジのこともある)。
国道299号線を西武秩父線沿いに30-40分走り、生川入口交差点からは石灰工場を眺めながら生川上流に向かっていくと駐車場です。菱光石灰工業の工場から先は道が細くなりますが、途中に生川集落がある生活道路なので安心して通行可能。
駐車場のキャパシティは30台程度でしょうか。朝6時30分頃の時点で満車近くなっていたので、到着時刻には要注意。近場の山だからとのんびりし過ぎると、道中で路上駐車する羽目になります。この日も下山時には路上駐車を何台も見かけました。あと駐車場入口の橋が狭いです。外車でも大抵の車種はいけると思いますが、ハマーとかになるとキツいかと。
武甲山の山行
武甲山御嶽神社から武甲山
そんなにハードな山行ではないので、のんびり朝6時半頃に武甲山御嶽神社に到着。もう春の大型連休期間に差し掛かっており、そこそこ混んでいるだろうなとは予想していましたが、なんと駐車場はほぼ満車。普通自動車が駐車できる枠は我々で最後で、あとは軽自動車ならいけるか?という大きさの枠が1つ残るのみでした。
満車の駐車場をみて引き返していくハイカーたちを横目に出発の準備。ここはもともと工事現場などで使われる仮設トイレしか設置されていなかったのですが、2022年4月に立派な常設観光トイレが完成しました。ピカピカのトイレで登山前の準備を済ませることができるようになっています。
ここからは駐車場の奥に向かって進むのが登山コース。しばらくは軽トラくらいなら通れそうな舗装道を渓流沿いに登っていきます。表参道コースはこの序盤の傾斜がキツいので,ペース上げすぎないようゆっくり登っていくのが良いでしょう。途中、武甲山と小持山の鞍部であるシラジクボへと登る登山道が分岐していきますが、そのまま直進です.
30分ほど登っていったところで舗装道から右手に登山道が分岐していきます。
まず目指すのは不動滝ですね。階段を登り、木橋を渡っていくと登山道入口から20分もしないうちに到着です。登山道は非常になだらかなので,慣れている人であれば結構なペースで登れるはず。
登山道すぐ脇を落ちていく落差35メートル・4段という滝が不動滝.水量はあまりなく,例えば奥多摩にある百尋ノ滝のような迫力はありませんが,杉林のなかをひたすら登っていく表参道にあって丁度いいアクセントになっていると思います.
水補給ができるのはもちろん,体力に自信のあるハイカーはボッカすることもできます.昼食のカップスープ用に水を持参することを忘れたことにここで気付いたため,ペットボトルを拝借するかわりに…ということで我々も水を1.5リットルボッカして上がることにします😓
不動滝を過ぎると、小さな祠と木橋を過ぎて登山道は先へ。このあたりは手入れされた杉林で、これといった展望はありませんが、傾斜は緩やか。複数人パーティなら会話を楽しみながらのんびり登れるでしょうが、ソロハイキングならペースをあげて一気に通過してしまうところでしょうか。
不動滝から30分ほどで、次のチェックポイント「大杉の広場」に到着。
名前のとおり樹齢数百年といわれる杉の巨木を中心とした広場です。この表参道がいつ開通したかはわかりませんが、わざわざこの大杉を通過しているということは、当時から武甲山におけるランドマークの1つだったのかもしれません。下界ならば神木として注連縄が巻かれ、崇められていてももおかしくない威厳がありますね。
なお丁度このあたりで標高1,000メートル地点というキリの良い場所でもあります。ここから先やや傾斜がキツくなるので、疲れている場合は息を整えておくとよいでしょう。
大杉の広場を過ぎると、少しずつ登山道は傾斜を強めていきます。同時に、名産の石灰岩でしょうか、足元に拳より大きな白石が登山道上にゴロゴロ転がるようになるのが武甲山ならではの特徴ですね。
なお、このへんは登山地図でも「急登」と注意書きがありますが、個人的にはそこまででもないように思います。例えば塔ノ岳の花立山荘手前なんかのほうがよほどキツい印象があります。ただ、雨天時や雨天後などは濡れた石がツルツル滑るので、そのへんは注意するに越したことはないでしょう。
急登区間は20-30分ほどでしょうか。再び道が緩やかになり、つづら折りを始めたら山頂はもうすぐそこ。山頂付近はバイケイソウの群生地になっているので、バイケイソウも山頂が近いという目印になるかもしれません。長者屋敷コースと合流すれば山頂はすぐそこです。
武甲山山頂と昼食
武甲山は山頂手前に武甲山御嶽神社を抱えており、まずはここの鳥居をくぐって参拝。
石灰岩採掘によって40メートルも下がってしまったという山頂は、拝殿と社務所の奥手を4-5分ほど登っていったところにあるので、あいだの通路を抜けて奥へと登っていきましょうか。
山頂には展望台が2つあり、まず手前にあるのが第二展望所。といってもここは展望所というか採掘場の出入り口にある小スペース…という程度のものに過ぎません。空気が澄んでいれば遠く東京湾や房総半島のほうまで展望できるらしいのですが、私は武甲山は今まで3回とも霞がちな春季に登山しており、秩父山地の外縁部を眺めて終わりです😅
メインの展望所は第二展望所から向かって左手に数十メートル進んだ先にある第一展望所で、ここからは秩父市街の見事なパノラマビューが得られる。4月末-5月頭前後に登ると羊山公園の芝桜を眺めることもでき、これが好きなんですよね。(羊山公園は人だらけなので写真も撮りづらいし…)
第一展望所はちょっとした広場になっており、ソロやペア登山であればここで昼食をとることもできるのですが、この日は不思議と無人だったため大展望を独り占めです。
標識に標高1,304メートルとありますが、実際の最高地点はこの第一展望所ではなく、2つある展望所の中間地点の岩場のどこか。一帯は立入禁止になっているため実際の1,304メートル地点を踏むことは叶いません。
さて、一通りこの大パノラマを楽しんだところで神社まで引返して昼食。さほど技術的・体力的ともに難易度の高くないデイハイクなので、体力づくりがてらオスプレーレヴィティ45に家庭用カセットガスコンロとグリルパンを持ち込んでホットドッグを焼くという計画です。
トイレ棟のあたりにベンチが幾つか設置されているので、今回はここにて昼食をとりましたが、山頂エリアはかなり広々としており、レジャーシートさえ持ってくれば好きな場所を占領して大休止することができそう。ピクニックも余裕な広さです。
焼くのはジョンソンヴィルのソーセージ(オリジナルスモーク味)。アメリカ発のブランドということで、いかにもアメリカンな味わいのホットドッグを焼くことができるのと、大きめのスーパーマーケットであれば置いているところが多いので自宅用、アウトドア用ともに重宝しています。あとは適当に買ってきたインスタントカップスープ😅
なお、サイズ的には大きめのサンドイッチメーカーにも収まる(端っこがはみ出す程度)ので、荷物を軽量化したい…というか普通サイズの荷物で登りたい人は携帯ガスバーナーコンロとサンドイッチメーカーとかでも焼けると思います。
武甲山から小持山
のんびり昼食を終えたら小持山への縦走開始。まずは橋立コースとの分岐点まで山頂から下ります。分岐点には鞍部を挟んで小持山を望むことができるベンチが設置されており、頂上がガヤガヤしているなというときは、ここで昼食とするのもアリですね。
向かって右手に分かれていく橋立コースを見送ったならば、シラジクボを目指して200メートル近くを一気に下降。ここは足元がバイケイソウの群生で、登山道のある尾根を境に向かって右手の秩父市(西)側がカラマツ林、向かって左手の横瀬町(東)側が檜林という面白い植生になっており、一見の価値ありです。
急峻な下りを30分そこそこ下っていくと、標高1,088メートルのシラジクボに到着。
小持山は標高1,273メートルなので、武甲山からの下りで吐出してきたのと同じくらいの高度をまた稼ぎなおし。なお、向かって左手に分岐する道をたどると、持山寺跡を経由するコースで一の鳥居まで戻ることができますが、今日は小持山・大持山を縦走するコース計画なので直進ですね。
シラジクボを過ぎてしばらくは、小持山への登りに取り付くまで緩やかなアップダウンです。防火帯でも兼ねているのか、広めに樹林帯が切り開かれているのが気持ちよいですね。
そんな散歩道も10分ほどで終わりを迎え、小持山への登り区間に突入。生川コースは「表参道」と言われるだけあって急傾斜をなるべく避けたり、斜面に対して斜めに登るなどコース設定に工夫が凝らされていると思うのですが、シラジクボ前後の登山道はただただ山頂への尾根を直登していくだけ。ここからは歯応えのある登りですよ😰
小持山までの登りはこれといって見どころはないのですが、山頂が近づくにつれて岩が増えてきますね。岩場はどちらかというと小持山山頂を越えた先がハイライトになりますが、ちょっとしたアクセントとして楽しめます。写真を撮り損ねましたが、短い石尾根もある(正規ルートは石尾根を迂回します)のでチャレンジしてみたい方は是非。
シラジクボから1時間かからないくらいでしょうかね、小持山に到着。
ここの山頂は狭く、展望もさほど優れているわけではないので、ソロやペアのハイカーさんが昼休憩しているのを見かけるくらい。大抵のハイカーは小休止だけして通過していくような場所です。あと遮蔽物がないので春以降は日差しが辛いだろうなと思います…🌄
小持山から大持山
小持山の次に目指すは大持山。ここからは稜線沿いに細かなアップダウンのある岩場が続きます。もちろん、岩場といってもアルプスのような丸裸の稜線を歩かされるわけではないし、鎖場も一箇所しかありませんが、それまでと打って変わって登山道は一気に細くなるし、急斜面の下りもある。過去には滑落事故も発生しているので要注意です。
ま、要注意とはいえ足が竦むような危険地帯もありませんので、注意しつつガシガシ進んでいきます。武甲山は何回か登りにきていますが、やはり歩いていて楽しいのはこの小持山ー大持山ですね。下ったり登ったりで無駄に体力消耗させられる区間ですが、いつも不思議と疲れた感覚はなく、アスレチックのような楽しさがあります。
稜線といえども視界は樹林に遮られたままですが、途中一箇所だけ1250メートルくらいの小ピークにある「雨乞岩」なる石棚から、西側に大きく開けた展望を楽しむことができます。見えるのは奥多摩の北側、三ツドッケや酉谷山など。どこかに雲取山もみえているはずなのですが、このエリアは山容が似たりよったりでお恥ずかしながら判別できず…😓
石棚はめちゃくちゃ狭いですが、眺めは良いのでここでお昼休憩している人を見かけることもありますね。3人くらいならなんとか座れるかなあ?という程度でしょうか。
雨乞岩を過ぎた先もしばらくアスレチックです。例えばこの画像の岩。見てのとおり岩の隙間を通り過ぎるのですが、身長180センチの私でも岩を跨いだ先の地面に届かず、足の置き場に難儀します。ほとんど居ないでしょうけど、大型ザックなんか背負ってると困りそうw
しばらく進んで、登山道がテクテク歩ける緩やかな道になったら大持山はもうすぐそこ。
武甲山にカタクリの山というイメージはあまりなかったのですが、大持山手前あたりで結構な数のカタクリを見ることができました。群生ではありませんが「山の妖精」と呼ばれるカタクリを思いがけなく見つけられるとはラッキーです😊
「あ、ここにもカタクリが」なんてやっているうちに大持山に到着。小持山と比べると随分なだらかですが、ここも展望はイマイチなのでお昼休憩には向いていないかも。この先の大持山肩部のほうが眺めがよく休憩には適しているんじゃないかと思います。
ちなみに写真に写っているトレラン勢の方々ですが、下山して帰っている途中、石灰工場群を抜けたあたりを走っているのを車で追い抜きました。一体全体どういう体力してるんでしょうか…💧
大持山から下山
シラジクボから小持山への登り、そして大持山までのアップダウンで流石に疲労感が出てきたので、軽く休憩と補給食をとったあとに出発。ここからは妻坂峠をへて一の鳥居まで戻ります。
まずは妻坂峠への分岐点である大持山の肩部へ。この肩部は小持山からのコースとは打って変わってのんびりした雰囲気で休憩にもってこい。この日は霞がかって遠望がききませんが展望もなかなか良いです。
ここからは妻坂峠まで延々下り。標準コースタイムでは登り80分となっていますが、急登混じりのこれを80分も登らされるのはウンザリしそうですね。もちろん下りでもウンザリですw
1時間ほど黙々と標高を下げていくと妻坂峠に到着。ここを向かって左に下ると一の鳥居、直進すると武川岳です。ここでトレラン勢が3人追いついてきて、武川岳のほうに向かっていきました。武川岳からはどのコースを選んでも駅まで結構な時間があるので、結構なペースで走るんでしょうねえ~
我々は先行するお婆ちゃんハイカーの集団について一の鳥居方面へ。峠を過ぎてすぐのところで道を譲られましたが、ほとんど我々と変わらないペースで後ろにつかれてしまい、写真が撮りづらくなったので譲りかえしてのんびり下山です。
途中リーダー格と思わしき方が「昔は妻坂峠あたりに分岐があってね、そこから小持山をショートカットして武甲山に登ってたのよ~」と話しており、好奇心をそそられたので帰宅後に調べてみたところ、妻坂峠から小持山の東斜面を巻いて持山寺コースに合流、そこからシラジクボに乗上げる「寺跡コース」(現在は廃道)があったとのこと。
当時は西武秩父線が秩父まで繋がっていなかったそうで、都内からアクセスするには表参道よりも妻坂峠経由(今もバス停がある名郷あたりが起点でしょうか?)のほうが便利だったのかもしれませんね。
登山道のほうですが、峠を過ぎてしばらくすると生川に注ぎこむ小さな沢まで下降、あとは沢沿いに歩いていくと林道二子線を横切って一の鳥居に到着です。
ちなみにこの林道二子線、未開通線なのですがすでにあちこち崩落しています。果たして無事に開通するのでしょうか🤔 オフロード二輪ライダーたちの間では有名なコースらしく、調べてみると色々な輪行記(自動二輪でも輪行でいいのか?)が出てきますので、興味のある方はどうぞ。私もいつかグラベルロードとかシクロクロスとか買ったら行ってみたいです。
武甲山から大持山縦走の感想
ということで、武甲山から小持山、大持山縦走の山行記をお届けしました.
武甲山は秩父市のパノラマビューが楽しめる反面、登山道は一本調子であまり面白くない一方、小持山から大持山の縦走路は展望に乏しい反面、アスレチックな登山道が楽しめます。2つを組みあせることで歩いてヨシ、眺めヨシというバランスの良いコースに仕上がりますよ。
マイナス点としては、総歩行距離13キロ超という長めのコースになってしまうことでしょうか。私の相方も初めてチャレンジしたときは膝を故障していましたし、登山慣れしていない初心者には結構きついかもしれません。体力と相談のうえ挑戦してみてくださいね。
山行当日の装備
春の低山なので春秋用ベースレイヤーのドラウトフォースと、いつもお世話になっているソフトシェルのフロウラップフーディで出撃。朝方の出発直後や山頂などではソフトシェルが欲しいけど、日が昇ってから歩いている間はベースレイヤーまでで丁度いいという気候でした。
新装備としてアークテリクスのシグマFLパンツがデビュー。相方がアークテリクス好きなので私も買ってみたという次第ですが、タイトフィットでスタイリッシュに着こなせるわりには動きやすく、さすが人気ブランドだなと感心。これはシェルジャケットとか他のアイテムも買ってみたくなりますね。
登山道具 | finetrack スキンメッシュ finetrack ドラウトフォースジップネック finetrack フロウラップフーディ Arc’teryx SIGMA FL パンツ ワコール CW-Xスポーツタイツ Salomon X ULTRA 3 MID GTX Osprey Levity 45 |
撮影機材 | SONY a7ii OLYMPUS OM-D E-M1 Mark2 OLYMPUS OM-D E-M10 Zeiss Batis 2/40 CF M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm PRO |
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