こんにちは.steamc1awです.
関東エリアでは屈指の人気を誇る塔ノ岳.神奈川県在住のハイカーが金時山や大山の次にステップアップする山として有名ですが,天候次第ではお手軽に冬山気分を味わえる山でもあります.今回は2022年正月明けの降雪タイミングを狙って,表尾根から登ってみました.
残念ながら今回は期待していたほどの積雪量がなく,冬山というよりも残雪期に近いコンディションでしたが,冬ならではのスカッとした青空を楽しむことができる山行となりました.塔ノ岳にて冬季登山する際の参考にして頂ければと.
山名 | 塔ノ岳 |
山域 | 丹沢山地 |
標高 | 1,431m |
登山日 | 2022年1月9日 |
天候 | 晴れのち曇り☁ |
備考 | ー |
塔ノ岳について
塔ノ岳は丹沢山地の南部にある標高1,491 mの山。関東山地を構成する丹沢山地の一角をなし、丹沢大山国定公園に属す。塔ヶ岳・塔ノ峰・御塔・尊(孫)仏山(そんぶつさん)など多くの呼称を持つ。江戸時代末期から明治・大正・昭和期には近隣農村の人々が雨乞いや害虫除けを祈願する信仰登山で賑わった。
Wikipediaより
塔ノ岳の登山ルート
大倉尾根コース:大倉バス停から堀山の家,花立山荘を経て塔ノ岳に至るコース.
表尾根コース:ヤビツ峠から三ノ塔,新大日を経て塔ノ岳に至るコース.
特にメジャーなコースを2つ載せましたが,首都圏からアクセスできる人気の山域だけあってコースは豊富.表尾根方面でいうとヤビツ峠起点のコースだけでなく,菩提から葛葉ノ泉を経て二ノ塔,大倉から牛首を経て三ノ塔,大倉から新茅山荘を経て烏尾山または政次郎ノ頭,新家からケヤキ沢歩道または長尾尾根を経て新大日,にて表尾根に合流することが可能です.
登山口へのアクセスという観点からは大倉から登るのがベストですが,せっかくの雪山ですから表尾根コースを選択.通常はヤビツ峠が起点となるのですが,積雪時は神奈中バスが峠まで登ってくれないので麓にある蓑毛がスタート地点.ヤビツ峠から塔ノ岳までは6時間,塔ノ岳から大倉までは2時間半強のコースタイムです.
蓑毛へのアクセス
先に書いたとおり通常であれば表尾根から塔ノ岳に登る場合はヤビツ峠が起点となります.この場合,秦野駅から神奈川中央交通のヤビツ峠行きバスに乗るのですが,峠までの道のりに積雪があると蓑毛が終点となってしまうため,ここから登る必要あり.なお終点が変わるだけで,バス運行時刻などはヤビツ峠行きのバスと変わりません.
ヤビツ峠行きバスの時刻表は こちら ですが,見てのとおり午後のバス便は14時台と15時台に各1本と少ない.蓑毛バス停はもう少しマシで17時台までバスが出ていますが,それでも1時間に1本ペースなのでピストン登山時のコース計画は慎重に.
塔ノ岳登山の山行記録
蓑毛からヤビツ峠
年明けも間もない1月9日,前日に神奈川県内陸部のほうで降雪予報が出ていたので雪の塔ノ岳でも登ろうかと秦野駅に到着.登山を始めた2018年頃はよく利用していましたが,2021年にマイカーを購入してからというもの,塔ノ岳は大倉の駐車場に停めて大倉尾根を登ってばかりだったので,久しぶりの秦野駅です.
春秋に比べると冬はハイカーがめっきり減る印象のある秦野駅ですが,それでもこの日はバス2台が満席になるくらいの人出.蓑毛にはそこから20分ほどバスに揺られて到着します.蓑毛乗越を経由して大山へ至る登山道の起点でもあり,しっかりした公共トイレが設えてあるので出発前の準備.
蓑毛からまず目指すはヤビツ峠.
金目川沿いに登っていくと東京版お遍路ともいえる「御府内八十八ヶ所」霊場の1つである千元院があり,大山への登山道が向かって右手に分岐していきますがここは川沿いに直進.
しばらくは低山によくある感じの杉林を歩いていきますが,登っていくにつれて勾配が少し厳しくなっていく.まだまだ序盤なので無理してペースを上げすぎないよう進んでいきます.
木橋で金目川を対岸に渡ったあたりで舗装道は終わり登山スタートとなります.木橋の上流側には「髭僧の滝」があり,登山道はじまってすぐの箇所からアクセス道が分岐しますが,この日の目標は塔ノ岳なので通過.真冬とあって肌寒く,神奈中バスがヤビツ峠ではなく蓑毛止まりになっていることからヤビツ峠に積雪があることはほぼ確実なのですが,まだ積雪はありません.
蓑毛からヤビツ峠までは金目川沿いの舗装道歩きも含めて1時間ほど.金目川を渡る木橋手前のごく限られた区間のほかは傾斜も緩いため,快調なペースで歩くことができると思います.登山道は金目川に注ぎこむ小さな沢を回りこむように尾根沿いに登っていき,沢の原頭部あたりで平坦なトラバース道となりヤビツ峠に向かいます.
ヤビツ峠の数百メートル手前くらいから,ようやく日陰にうっすらと積雪がみられるようになってきましたが,この感じだと「どっさり積雪!」という雰囲気ではなさそうです💦
勾配の緩いトラバース道をしばらく歩いていき,分岐点まで到着すればヤビツ峠はすぐそこ.まっすぐに進む道と,右手に登っていく道とがありますが,塔ノ岳に登るならどちらを選んでも大差ありません.イタツミ尾根から大山に登りたいなら右に進んだほうが近道というくらいでしょうか.でも蓑毛から大山に登るなら蓑毛乗越に向かっちゃうのが普通と思いますね.
ヤビツ峠には一面うっすらと積雪が.もう少しどっさり積もってて欲しかったのですが,まあ仕方ないか.この程度の積雪でも神奈中バスは登ってきてくれない(なんなら積雪がなくても凍結だけでもNGだと思われる)のですが,峠の駐車場はハイカー達のものと思わしきマイカーで満車です.
ヤビツ峠には公共トイレがありますが,凍結対策のためかトイレは閉鎖されており,かわりに仮設トイレが設置されているので出発前の準備は済ませておきましょう.
ヤビツ峠から三ノ塔
ヤビツ峠から塔ノ岳に向かうには2つのコースがあり,1つは県道70号秦野清川線を歩いていくもの.もう1つは旧ヤビツ峠から菩提峠を経由するもの.県道70号が緩やかな下りであるのに対して,菩提峠方面は標高899メートルの岳ノ台に登っていく必要があり,2倍ほどの時間を要するため前者を選択.
水場として有名な「護摩屋敷の水」まで秦野清川線を降りていくと,ここにも公共トイレが.そこから左手に2-3分ほど登り返したところが塔ノ岳への登山口です.
まず目指すのは標高1,144メートルのニノ塔ですが,登山道は早速階段の連続.途中菩提峠から登ってくる林道と合流する箇所があり,そこだけは平坦ですが後はだいたい登り勾配.途中ベンチが幾つかあるので休憩は可能ですし,勾配自体はそこまでキツいわけではありません.
登山口から30-40分ほど登ったところにあるベンチを過ぎると樹林が薄くなり,二ノ塔に向けた登りも終盤に差し掛かってきます.途中にはヤビツ峠を挟んで大山と湘南の街並みを望むことができる展望スポットもあり.もう1つのメジャーな登山路である大倉尾根は終盤の終盤までずっと樹林帯なので,こうして眺望を楽しみながら登ることができるのが表尾根の魅力です.
この展望スポットを過ぎると木々のトンネルがあり,これを抜けると二ノ塔.
山頂には大型のベンチがあり,ここまでの登りで疲れていればしっかり休憩することが可能.塔ノ岳の魅力の一つは富士山の展望ですが,この二ノ塔から早くも富士山をしっかり望むことができます.
表尾根を登るのは2年ぶりくらいですが,木階段が新たに設置されていたり,二ノ塔頂上もベンチだけではなく木板が敷かれているなど,どんどん整備が進んでいます.さすが首都圏屈指の登山スポット.
二ノ塔から三ノ塔はもうすぐそこですが,いったん下ってから登返し.
北側斜面を下っていくので積雪があった後などは凍結していることが多い箇所ですが,勾配がそこまでないのでアイゼンやチェーンスパイクはまだ不要.気をつけて鞍部まで下ったのちは,よく整備された階段を登り返して三ノ塔です.
三ノ塔尾根を経て牛首に下る登山道の分岐を過ぎると三ノ塔に到着.
山頂がテーブル状に平たくなっていて,広場に避難小屋,トイレにベンチが幾つも…という整備っぷり.休憩にはもってこいで,ヤビツ峠から三ノ塔までで往復する人も多いようですね.もちろん富士山もバッチリ見えますので,時刻次第ではここで昼食を済ませてしまうのもアリでしょう.
三ノ塔から新大日
三ノ塔から表尾根コースのハイライトである稜線歩きが始まります.
まずは地蔵のある肩部まで平坦な木道を歩いたのち,烏尾山まで100メートルほど一気に下降.この肩部からは新大日までの稜線が一望できワクワク心を掻き立てられます.
この烏尾山との鞍部までの下りは表尾根コースの中でも特に傾斜がキツく,かつ西側斜面なので雪が残りやすい.コース上他のところは問題なくても,ここだけはチェーンスパイクが欲しくなることが多いです.積雪が予想される際は念のためチェーンスパイク持っておくと良いでしょう.
鞍部から,10分ちょっと登り返すと烏尾山荘.合掌造りスタイルの三角屋根が特徴的な山小屋ですが,通りがかっても営業しているのかいないのか,よくわからないことが多い(週末営業ということにはなっています)印象.この日はドアが空いており営業しているようでした.
烏尾山の頂上も三ノ塔ほどではありませんが,開けたスペースとベンチがあり休憩することができます.この日は良い風が吹いていたのか,パラグライダーが飛んでいるのが見えました.確か菩提峠と二ノ塔あたりに滑走路があったかと記憶しています.
烏尾山を過ぎると,次なる目標は行者ヶ岳.途中までは緩やかなアップダウンのある低木・草本中心のなかを気持ちよく歩いて行けますが,行者ヶ岳自体は表尾根の中でも結構ハードな登り(ヤビツ峠⇨塔ノ岳方向だと一番キツイかも)なので心してかかります.
行者ヶ岳の頂上につくと,今度は政次郎ノ頭との鞍部へと下っていくのですが,ちょこちょこ岩場・鎖場があり,最大のものは落差10メートル近くあります.これも表尾根コースのハイライトの一つですね.慣れればなんということはないのですが,初見だと人によっては結構ビビる高さがあり,ハイシーズンにはちょっとした渋滞になることもしばしば.
この大きな鎖場を抜けると,政次郎ノ頭を経て新大日(1,340メートル)まで一気に標高を稼いでいきます.登山ビギナーだとこの辺から疲労を感じてくることが多いんじゃないでしょうか.政次郎ノ頭までの道中,斜面崩落により痩せ尾根みたいになってしまっている箇所があるので,そこだけ要注意かな.
政次郎ノ頭は戸沢山荘に下る政次郎尾根コースが分岐していく他,これといって何かあるわけではないのですが,登っていく先にスカッとした青空が広がる光景を楽しむことができ,表尾根コースの中では個人的に好きな箇所の1つです.
新大日には政次郎ノ頭から40分ほどで到着.ここには新大日茶屋の小屋跡のほか,休憩に使えるベンチが幾つかあります.しばらく登ってきたあとなので,ここ新大日では休憩していく人が多いように感じますね.
新大日から塔ノ岳
新大日までくれば塔ノ岳は緩やかな登りを30分ほど歩いていくだけ.途中の木ノ又大日には木ノ又小屋があり,塔ノ岳山頂すぐ手前という中途半端なロケーションなので私は使ったことがないのですが,コーヒーなどは評判がよいようです.宿泊も可能.
この辺りまでくると,標高もあって登山道全体に積雪がみられました.といっても数センチ程度で,雪山というには程遠いかな.それでも,ひんやりした空気のなかを歩いていけるだけでも楽しいですね.塔ノ岳山頂直下のみやや勾配のきつい登りですが,それを越えれば無事に塔ノ岳登頂.
塔ノ岳山頂には13時30分頃に到着.山頂に「ベンチ」はないのですが木板があちこちに並べてあるので,そこに座って休憩することができます.大倉尾根からも大勢のハイカーが登ってくるので山頂は大賑わいで,皆さん記念撮影をしたりラーメンを沸かしたり,思い思いに過ごしてらっしゃいました.
神奈川県だと他には金時山などが富士山の眺めで有名ですが,私はこの塔ノ岳からの富士山の眺めが好き.丹沢山塊を従えるように佇む富士山の姿や,ちょうどいい塩梅の距離感(富士五湖エリアなどは近すぎて風情があまり感じられないなと💧)が素晴らしいと思いますね😄
この日は公共交通機関利用登山のため登頂時間が遅く,陽が昇りきってしまいモヤッとした写真になってしまいましたが,冬季だけあって見晴らしはよく遠く南アルプスまで眺めることができました.
塔ノ岳から下山
下山路はバス便が使いやすい大倉バス停を目指して大倉尾根コースを選択.この大倉尾根は山頂直下からの小田原の眺めと,花立山荘付近からの富士山の眺めのほかは,ずっと樹林帯を下っていくだけで見どころがないので省略させていただきます😂
表尾根から登る塔ノ岳の感想
ということで,表尾根から登る冬季の塔ノ岳山行をお届けしました.
アクセスの便利さでは大倉尾根に軍配があがる塔ノ岳登山ですが,山行の楽しさを考えると表尾根コースを一回は経験してほしいですね.決してハードなものではありませんが行者ヶ岳の鎖場,三ノ塔からのザレ気味な下りなど,テクニカルな区間が楽しめるのも表尾根の醍醐味でしょう.
マイナス点としては,マイカーでヤビツ峠からピストンするのでなければ登頂時間が遅くなりがちで,山頂からの富士山が霞んでしまったり丹沢山まで足を伸ばしづらいところが挙げられるかな.私も塔ノ岳デビューしたての頃に無理を押して丹沢山まで行き,日没を眺めながらギリギリ大倉バス停に下山したことがあります.
でも大倉尾根と表尾根どっちが楽しい?と聞かれたら秒で表尾根と答えるくらいには良いところですよ.
山行当日の装備
厳冬期ではないにせよ1月という冷えこみがちな時期の登山,かつ積雪がある状況でしたが,ここ塔ノ岳に関していうとガチな冬山装備は不要.いちばん寒さを感じたのは蓑毛バス停の出発直後で,あとは運動で体が温まってくればミッドレイヤーで行動していても寒さは感じません.
唯一,新大日から塔ノ岳山頂あたりまでの区間は風が吹きがちで,ウインドブレーカーでも良いので羽織れるものを一枚持っていると良いでしょう.あとこの記事では書いていませんが,塔ノ岳から丹沢山までの主脈も風が吹きつけてくることが多いので,そこまで足を伸ばす方も羽織ものは持っておいたほうが良いかと思います.
登山道具 | finetrack スキンメッシュ finetrack メリノスピンライト finetrack ドラウトクロー finetrack フロウラップフーディ Millet TYPHON 50000 パンツ ワコール CW-Xスポーツタイツ Salomon X ULTRA 3 MID GTX Millet MATRIX 30 |
撮影機材 | SONY a7ii OLYMPUS OM-D E-M1 Mark2 OLYMPUS OM-D E-M10 Zeiss Batis 2/40 CF M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm PRO |
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