こんにちは.steamc1awです.
2021年の夏は週末に限ってなかなか天気が安定せず,かと思えばテント場を予約していた長兵衛小屋がコロナまん延防止措置で営業停止したりと運に恵まれず….2020年の燕岳以降ずっと計画していたアルプスに登れないまま時間が過ぎていたのですが,10月頭にようやく天候に恵まれ念願の北アルプス再訪となりました.
燕岳と並んで初心者向けとされる蝶ヶ岳,そこから常念岳に縦走して三股に下るという周回コース.今回の記事ではそんなテント泊登山の前半となる登山口から蝶ヶ岳山頂での宿泊までを記事にしてお送りしますので,参考にしていただければと.
山名 | 蝶ヶ岳 |
山域 | 飛騨山脈(北アルプス) |
標高 | 2,677m |
登山日 | 2021年10月2日 |
天候 | 晴れときどき曇り☁ |
備考 | 信州百名山 |
蝶ヶ岳について
蝶ヶ岳(ちょうがたけ)は、飛騨山脈(北アルプス)にある標高2,677mの山。常念山脈の稜線上、常念岳の南にあり、山体すべてが長野県に属する。中部山岳国立公園内にある。稜線は、二重稜線となっている。この二重稜線が積雪に大きく関与するため、高山植物の分布に影響を与えている。山頂付近は、森林限界のハイマツ帯で、ライチョウの生息地となっている。
Wikipediaより
蝶ヶ岳の登山コース
蝶ヶ岳新道コース:三股からまめうち平を経て蝶ヶ岳に至るコース.
長尾尾根コース:上高地から徳沢ロッヂ,長堀山を経て蝶ヶ岳に至るコース.
横尾コース:上高地から横尾山荘,槍見台を経て蝶ヶ岳に至るコース.
この他に北は常念岳,南は大滝山に,それぞれつながる常念山脈の稜線が蝶ヶ岳を貫いています.登り区間の距離が最も短いのは横尾コースですが,登山口となる横尾山荘まで上高地から3時間かかる.合計タイムで最も手っ取り早く登ることができるのは蝶ヶ岳新道で,健脚なら日帰りも可能です.
今回は自家用車でアクセスして常念岳経由の周回コースを歩きたかったので,必然的に蝶ヶ岳新道を選択.上高地からの両コースは,公共交通機関を利用して上高地から蝶ヶ岳,常念岳を経由して大天井岳方面に縦走する場合などにお世話になるのではないでしょうか.
三股へのアクセス
登山口となる三股へは中央自動車道から長野自動車道の安曇野インターチェンジにて下車後,県道495号線豊科大天井岳線,鳥川林道と50分ほど走って到着.
キャパシティは林道ゲート手前の三股第一駐車場(20台前後)と,その手前の森の広場駐車場(40台前後?)とをあわせて6-70台ほどでしょうか.10月という夏山シーズンは終わりかけの時期でしたが,紅葉シーズンということもあってか6時前に到着した頃には森の広場駐車場もかなり埋まっていました.
蝶ヶ岳登山の山行記録
三股からまめうち平
相方とクルマを深夜・早朝の中央自動車道を走らせ,6時頃に森の広場駐車場に到着.連休でもなんでもないただの週末,しかも夏山のハイシーズンは終わっているはずですが,この時点で森の広場駐車場も指定駐車エリアは8割がた埋まっているという人気っぷり.紅葉シーズンだからかな?
まず森の広場駐車場から三股へ向かいます.狭い林道を10分ほどテクテク歩いていくと三股駐車場.この間にも三股駐車場に停車できないかチャレンジしては引き返してくるクルマを何台も見かけました😅 三股駐車場には公衆トイレがあるので,登山前の準備はここで済ませておきましょう.
ゲートを過ぎてしばらくすると道路は未舗装に変わりますが,まだ登山口手前なので傾斜は緩やか.そのまま進んでいくと案内所があり,ここでは登山届を記入・提出することができます.この日はオンライン提出していたので,我々はそのまま通過.
案内所を過ぎるとすぐに登山口である三股.
右手に進むと前常念岳を経て常念岳へと登るコースですが,ここは蝶ヶ岳に向かって直進します.今回は蝶ヶ岳から常念岳に縦走して下山してくるプランなので,このコースは下山時に使うことになりますね.まさか真っ暗闇の中をここに下山してくることになるとは思いもよりませんでしたが😭
三股からしばらく登ると,まずは吊り橋で本沢を渡り,本格的な登りへ.
ここからは延々と樹林帯のなかを登っていくので面白みはありませんが,登山道は木階段などでよく整備されており歩きやすい.途中に「ゴジラのような木」なる面白スポットがあります.
ゴジラのような木を過ぎると急登区間で,ベンチがあり休憩場所となる「まめうち平」を目指して登っていきます.北アルプスの登りは前年に北アルプス三大急登の1つに数えられる合戦尾根にて経験済みですが,今回はテント泊装備を詰めた70リッターザックを背負っており,徐々に体力を削られていくのを感じます😰
道行く登山者は,テント泊装備向けの大型ザックを担いだ人もいれば,小屋泊していくのであろう40リッタークラスザックの人,日帰りピストンするのであろう20リッターの軽量ザックの人など様々.我々同様に登山ビギナーと思わしき人もちらほら見かけました.
なおテント泊装備を背負っての山行はこの数ヶ月に横岳・赤岳・阿弥陀岳の周回コースにて経験済みなんですが,その際は行者小屋にテント設営して身軽になってから登頂しており,全装備を背負ったまま登頂するのは今回が初めて.行者小屋までの緩々したコースとは訳が違う…😩
まだ座って休憩したいというほどの疲労は感じていなかったので,ベンチは利用せず通過.ここにて登りは一区切りとなり,しばらく平坦な道が続くので歩きながら足を休めることができますが,後々のことの考えると小休止していたほうが良かったかも.
というのも,この平坦区間を過ぎた先はずっと登りが続くうえに休憩できるスペースもあまりないんですよね.皆様も体力には余裕をもって登るようご注意ください😇
まめうち平から蝶ヶ岳ヒュッテ
15分ほど平坦区間を歩くと登坂再開,蝶ヶ岳ヒュッテまで2時間半ほどの登りです.
平坦区間で多少回復できたと思っていたのですが,日帰り装備の登山と違って体力消耗が早い.無理しても仕方ないので休み休み登っていきますが,この辺りまでは他ハイカーと同じくらい(ゆっくりな人は追い越せる程度)の速さで登っていたんじゃないかと.
そうこうしているうちにガスが広がってきて,山頂方面の視界が消失.標高2,500メートル超えの山岳地帯では天気が急変するのは承知済みとはいえ,写真目的で登っている身としては大きな痛手.テンションダウンにあわせて体力残量もダダ下がりです…🙁
道中,つづら折りではなく斜面沿いに短距離トラバースしていく箇所があり,晴れていれば紅葉が綺麗に見えたのではないかと思うのですが,ご覧のとおりガスまみれ.現像ソフト(Lightroom)でかなりキツめに補正をかけてこれですので,現場でのガスっぷりはお察し…というところ…
そんなこんなでテンションは上がらないものの,もちろん引き返すわけにもいかず,延々と続くつづら折りの登りに精神的にも体力的も参り始めていた頃,ようやく青空が!?
これは期待できるか!???と気持ちは逸るのですが消耗した体力のほうが気力に追いつかず.後続にどんどん追い抜かれるほどではないにせよ歩いては休み,歩いては休みを繰り返しながら登っていくと…森林限界のあたりでついにガスの上に出ました!😄
この森林限界あたりでちょうど蝶ヶ岳から大滝山への向かう常念山脈の稜線に合流.蝶ヶ岳新道から向かって左手に向かうと2時間ほどで大滝山.右手に進むと10分もせずに蝶ヶ岳ヒュッテと蝶ヶ岳山頂です.
お恥ずかしいながら,平坦な稜線に出ても完全に体力は回復せず,のっそのっそと蝶ヶ岳ヒュッテに向かいます.気持ちいい(…はずの)ハイマツ帯をひいこら言いながら歩いていくと,ついに蝶ヶ岳ヒュッテが見えてきました.森林限界抜ける直前の登りなんかは,それこそ5分歩いて15秒休む…みたいなペースだったのでね.本当に情けない.
テント設営と蝶ヶ岳散策
この蝶ヶ岳ヒュッテは1958年開設という山小屋.
テントサイトは先着制で40張ほどのキャパシティがあり,1人あたり2000円の料金となります.
到着後しばらくして撮影しているのでテントは到着時より増えています
まずは荷物をテント場におろしてチェックインへ.到着したのは12時30分頃で,早くも遅くもなくというタイミングだったと思いますが,すでに20張ほどのテントが設営済み.公式サイトにも「張る所がなく、下山されるケースもあります。あらかじめご承知おきください。」とあるので,ハイシーズンの到着時刻には注意ですね.
チェックインを済ませてホッとしたところで設営.普段のキャンピングでも使っているSnow Peak謹製のFAL Pro.air 3ですが,この日も使っている人は見かけず😅 まあ被らないところが魅力なんですけどね…やはり数的に目立ったのはmont-bellだったかなあ.NEMOも結構みた気がします.
設営したところで蝶ヶ岳ヒュッテに戻り,温かいご飯をゲット.中華丼,カルボナーラ,おでんなど色々なメニューが揃っていますが,今回は牛丼とカレーを注文.味は…まあ普通の山荘メシという感じでしょうか.景色が素晴らしいので何食べても美味しいんでしょうけどねw
13時頃に昼食を終えて,今後の行動について相談.計画段階では体力と時間に余裕があれば大滝山に足を伸ばしてみても良いかと思っていたのですが,体力消耗している状態で往復3時間のコースは攻めすぎだろう…ということで,しばらく散策したのちに昼寝することに決定.
蝶ヶ岳ヒュッテからの眺めですが,まず南側はなだらかな蝶ヶ岳山頂が鎮座しており,あまり展望はない.東側には松本盆地の街並みが広がっていますが,すごい!というほどでもないです💧
なんといっても最大の見どころは西側にどっしりと控える穂高連峰の眺め.
梓川を挟んで何も遮るものなくその雄姿を拝むことができるのは,ここ蝶ヶ岳を登頂したハイカーにのみ許された特権でしょうか.アルプス初挑戦の際に燕岳から眺めた西銀座も良かったですが,登山ビギナーとしてはやはり穂高連峰への憧れが強いので,この展望には感動😊
言葉ではなかなか伝えられませんが,本当に眼前といえるような距離で穂高連峰を望むことができ,皆さん思い思いに山頂と付近の稜線の散策を楽しんでいました.双眼鏡があれば涸沢カールに幾つもたてられているであろう登山テントも見えたのではないでしょうか.
北側には明日の目的,常念岳.先に書いたとおり蝶ヶ岳は稜線手前までガスの中でしたが,常念岳も西側からガスが押し寄せては引いてを繰り返しており,見ていて飽きない光景.常念岳の奥には遠く大天井岳も望むことができます.
時間を忘れて散策しているうちに,雲が穂高連峰を越えて押し寄せてきました.素晴らしい風景をみて消し飛んでいた疲労も戻ってきたので,テントに戻って夕方前まで仮眠することに.
夕方16時過ぎに起きることができましたが,穂高連峰の上空には相変わらず雲が垂れ込めており,残念ながら夕日は撮影できず.ならば夕焼けはどうだ!?と思いましたが,こちらもイマイチ焼けてくれず空振りにて終了.翌日は雲が晴れてくれることを願いながら夕食をとり就寝.
三股から登る蝶ヶ岳の感想
ということで,三股からの蝶ヶ岳ー常念岳縦走山行の前半部分をお届けしました.
北アルプスの入門としてよく名が挙がるとおり,山頂までよく整備され,これといった難所のない登山道が続くので,無雪期に挑戦するのであれば安心して登ることができると思います.日帰り装備であれば体力的にもそこまで厳しくなく,手軽に穂高連峰の展望を楽しむことができるでしょう.
私はテント泊装備を背負って登ったこともあり結構苦しんだのですが,後からGPSログを見直してみると,標準コースタイムで5時間のところを5時間半ほどで登っており,休憩時間を考慮するとコースタイム通りなんですよね.とはいえ行動範囲を広げるためにはもっとペースを上げて歩きたいところ.こればかりは訓練していくしかないです💧
山行当日の装備
このブログでは初登場となるオスプレーイーサープロ70を使用.同社の定番モデル「イーサーAG70」の軽量化モデルで,ライトグレーとレッド(レディースモデルのエーリエルプロ65だとグリーンになります)という色使いがオシャレな大容量リュックです.
ソールが硬めの登山靴「Salomon X ALP MID LTR GTX」を持っていることをすっかり忘れ,ハイキングシューズに分類される「Salomon X ULTRA 3 MID GTX」で出撃してしまいましたが,蝶ヶ岳新道はこれといって岩場もガレ場もないコースなので,足の痛みなど不具合は感じずでした.
登山道具 | finetrack スキンメッシュ finetrack メリノスピンライト finetrack ドラウトクロー finetrack フロウラップフーディ Salomon ショートパンツ ワコール CW-Xスポーツタイツ Salomon X ULTRA 3 MID GTX Osprey AETHER PRO 70 |
宿泊道具 | Snow Peak FAL Pro.air 3 Snow Peak Bacoo 350 finetrack ポリゴン2UL Millet TYPHON 50000 パンツ |
撮影機材 | SONY a7ii OLYMPUS OM-D E-M1 Mark2 OLYMPUS OM-D E-M10 Zeiss Batis 2/40 CF LAOWA 10-18mm FE ZOOM M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm PRO SLIK SPRINT MINI II |
テント泊に備えては保温ミッドレイヤーのポリゴン2ULとミレーティフォンパンツを持参.
昼間は陽がさしてポカポカ陽気だった蝶ヶ岳山頂も,夜になるとだいぶ冷え込みました.ハイマツ帯と山頂で遮られているとはいえテント場は稜線近くにあるため風も強く,ポリゴン2ULとミレーティフォンパンツを着込んでなお若干の冷えを感じるほど.10月でもしっかりした防寒具は必要です.
ここで鬼と戦って力尽きたのであろうか…👺
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