こんにちは.steamc1awです.
日本放送協会の企画「全ファイナルファンタジー大投票」の結果が2020年の2月29日に発表されましたね.音楽部門の1位は『ファイナルファンタジーX』から『ザナルカンドにて』でした.
手持ちのヘッドホンでアニソン・ゲーソンを聴き比べてみる企画の第2弾として,この曲を…と言いたいところなのですが,ピアノソロである『ザナルカンドにて』を延々聴き比べしていたところ精神崩壊しそうになったので代わりに8位の『Melodies of Life~Final Fantasy』でお送りします.
栄えある得票1位を獲得した『ザナルカンドにて』はもう少し耳が鍛えられてきたころに稿をあらためて取りあげてみたいと思います😓
[blogcard url=https://www.nhk.or.jp/anime/ff/ranking/?cat=music]ところでこの投票結果,僕にとっては少々意外なものでした.
というのも『ファイナルファンタジー』シリーズ中で売上トップなのは『ファイナルファンタジーVII』でイベント曲『エアリスのテーマ』や戦闘曲『更に闘う者達』などジャンルごとに有名曲も勢揃いしています.当然ここが本命と予想していました.
あるいは印象に残りやすいヴォーカル曲の『Eyes on Me』『Melodies of Life』『素敵だね』のどれかだと思っていたんですけどねー.
『Melodies of Life』の聴きどころ
閑話休題.
聴き比べ対象の『Melodies of Life~Final Fantasy』ですが国民的ロールプレイングゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズ9作目のメインテーマ曲.作曲はファイナルファンタジーシリーズお馴染みの植松伸夫氏です.
白鳥英美子さんが歌うヴォーカルパートである『Melodies of Life』とファイナルファンタジーシリーズ共通テーマである『Final Fantasy』に分かれているのは,テーマとして「原点回帰」を謳った『ファイナルファンタジーIX』ならではのギミックですね.
なお⇩の動画は英語版かつ最後2分ほどの『Final Fantasy』パートがカットされたGMV(Game Music Video)となっています.ゲームの雰囲気がわかったほうが良いかと思いこちらをピックアップしました.
包み込まれるような優しい旋律が特徴のヴォーカル曲.
『ファイナルファンタジーIX』は「生命」を物語上の主要テーマとしており「わたしが死のうとも 君が生きているかぎり 命はつづく」という歌詞は,エンディング映像とあわせて多くのプレイヤーの心に染みたのではないかと思います.
生命への讃歌であるこの曲をヘッドホンで聴くうえでまずチェックしたいのは,ヴォーカルと旋律の力強さと温かさ.そしてオーケストラ演奏の『Final Fantasy』へ繋がるパートでは大きく開かれた未来をイメージさせる壮大なサウンドを期待したい.
PICK-UP HEADPHONES
比較した13機種の中でも,特にイメージどおり鳴らせているなと思ったヘッドホンをピックアップしました.
GRADO LABS GH1
アメリカ合衆国ブルックリンを本拠地とするヘッドホンメーカーの数量限定モデルである “GRADO LABS GH1”.
ウッドハウジングを採用した外見どおり温かみのある音色が魅力.
いわゆる「暖色系」とでも表現すべきヘッドホンは他に “SENNHEISER HD650” や “PHILIPS Fidelio X2” があり,HD650で聴く白鳥さんのヴォーカルはヴェールに包まれたような優しい声色.Fidelio X2では透明感が増すものの,どこか遠くの歌声を聴いているかのような距離感がありました.
GH1ではその距離感がグッと縮まり,温かいだけでなく力強い歌唱がより一層際立った音色になります.『Final Fantasy』パートのオーケストラも太筆の絵具で彩られたように鮮やかな躍動感がある.
『Melodies of Life』という曲名を邦訳すると『生命のしらべ』ということになるかと思うのですが,生命の躍動感や生きていこうという意志をもっともバランスよく描けていたのはこの “GRADO LABS GH1” でした.
SENNHEISER HD650
ドイツの老舗メーカーゼンハイザーにて長らくフラッグシップ機種の地位を確立していた古参兵 “SENNHEISER HD650”.
温かみのある音色で根強いファンを抱える機種です.
GRADO LABS GH1の項で書いたように,HD650の特徴はヴェールを纏ったよう優しくまろやかな音色.ピアノの音が繊細だとか管弦楽器の音が鮮やかだとか,個々の音にみるべき点はないのですが,包みこまれるような心地よさでは本機種の右に出るものがありません.
『ファイナルファンタジーIX』における『Melodies of Life』は主人公たちが遠い昔に聴いた子守唄という重要な意味をもつ歌.ジタンとダガーの記憶のなかにある『Melodies of Life』はきっと,こんな包みこまれるような優しい音色だったのでしょうね.
その他のヘッドホンのインプレッション
ピックアップしたヘッドホンの他には “PHILIPS Fidelio X2” がEXCELLENT入り.やはり温かみのある音を鳴らせるヘッドホンが向いていますね.
そして “AKG K812” は相変わらずEXCELLENTに入れるべきかGOODに入れるべきか悩ましい機種です.当初想定していたサウンド像にドンピシャするわけではないのだけど,基本性能の高さに押されてしまうというか.
こんな感じでカテゴリ分けしています.
EXCELLENT ➡ イメージに近いサウンド.おすすめ.
GOOD ➡ 完璧ではないが,じゅうぶん満足できるヘッドホン.
FAIR ➡ イメージからの乖離が大きいヘッドホン.不向き.
EXCELLENT😍
機種 | コメント |
GRADO LABS GH1 |
ピックアップのコメントどおり.生命の躍動感を鮮やかに描きだし,讃歌と呼ぶに相応しい音色に仕上げてくれました. |
SENNHEISER HD650 |
ピックアップのコメントどおり.「遠い記憶のなかの子守唄」という作中設定にピッタリとはまる優しい音色. |
PHILIPS Fidelio X2 |
温かみのある本機,やはりこの曲によく合いますね.傾向はGH1とHD650の中間といったところ.まったりすぎず華やかすぎずのバランス感覚が秀逸です. |
AKG K812 |
繊細かつ控えめながらも十分に力強い歌声.伴奏の各楽器はしっとり美しい.しんみりしがちではあるものの,エンディングシーンでゲームの余韻に浸るならこんな音で聴いてみたい. |
GOOD 😊
機種 | コメント |
SENNHEISER HD800 |
『Final Fantasy』パートの雄大さにかけては向かうところ敵なしで,ここだけならトップクラスの評価.ただヴォーカルパートはどうしてもK812に見劣りしてしまいます. |
SENNHEISER HD700 |
よくも悪くも中庸.とはいえこの水準なら誰もが満足して聴くことができるでしょう.HD650よりスペックは高いのですが,それだけで語りきれないのがヘッドホンの奥深いところ. |
GRADO LABS SR325e |
一般的には個性派とされるヘッドホンですが,この曲は存外サラッとした音色で鳴らしてくれました.透明感があり非常に聴きやすいサウンドです. |
ULTRASONE PRO2900 |
ULTRASONE独自のS-logicにより,包みこまれるような心地よさではHD650に肉薄.ヴォーカルも力強く好ましい音なのですが,シンバルの音が刺激的にすぎるように思います. |
FOCAL ELEAR |
ヴォーカルの力強さならばトップです.生きていこうという意志を強く感じる歌声は唯一無二.ただ全体的に押出しが過剰というか,押しつけ気味なところが気になりました. |
AKG K701 |
この曲は低音が控えめなせいか,K812と似た傾向の音色になりますね.伸びやかなヴォーカルやピアノの音色が美しいです. |
SENNHEISER HD25 Alum. |
期待していたよりうまくヴォーカルの温かさを表現できていました.しかし『Final Fantasy』パートは凡庸以外の言葉が見つかりません. |
FAIR 😞
機種 | コメント |
beyerdynamic DT990 PRO |
ドンシャリヘッドホンというイメージとは裏腹に,深い低音を中心としたまろやかな音色.しかしPRO2900以上にシンバルがシャンシャン存在感を放っており雰囲気をぶち壊しています. |
audio-technica ATH-AD2000 |
傾向としてばバランス型なのですがヴォーカルの高音域に癖があり,やけに刺激的.まろやか・穏やかに聴きたいという僕が望んでいる方向性とは真逆です. |
更新履歴と上流機材
ヘッドホンのインプレッション追加履歴および,その際の使用機材の一覧です.
日付 | 更新内容 |
2020年3月24日 | 初版アップロード. 使用機材:Raspberry Pi 3 ➡ ONKYO DAC-1000 ➡ Burson Audio Soloist SL Mk.2 |
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