こんにちは。steamc1awです。本日は「渋スク」こと渋谷スクランブルフィギュアより発売の1/7スケールフィギュア『ドールズフロントライン スオミ -幸せの使命 Ver.-』の写真をお届けします。
商品名 | スオミ -幸せの使命 Ver.- |
作品名 | ドールズフロントライン |
発売時期 | 2022年7月 |
メーカー | 渋谷スクランブルフィギュア |
デザイン | Anmi |
原型製作 | Design COCO |
サイズ | 全高 約230mm (付属品込み) |
価格 | 26,950円 (税別) |
原作はSUNBORN開発の中華スマホゲーム『ドールズフロントライン』(通称ドルフロ)。「艦これ」こと『艦隊これくしょん』に触発された兵器擬人化作品の一つで、この作品は銃器を擬人化したものですね。私も当初は期待しており、日本版リリース直後にプレイしましたが、艦これの焼き直しともいえるゲームシステムに飽きてしまい割とすぐに脱落。キャラクターは好きでフィギュア製品はかなりの数を所有していますが😓
このキャラクターの下敷きとなっている銃器は正式名称を「スオミ KP/-31」といい、フィンランドが1931年に採用した短機関銃(サブマシンガン、SMG)です。フィンランドとソビエト連邦とが戦った1939年の冬戦争において大活躍した狙撃手「白い死神」ことシモ・ヘイヘが使っていたことで有名なほか、戦後も長らく製造、使用され続けた名銃。そんな背景を反映してか、ゲーム中でも最高レアリティの星5という扱いになっているキャラクターです。
そんなスオミの花嫁衣装を立体化したのがこの「スオミ -幸せの使命 Ver.-」ですが、厳密には重傷バージョンの立体化となります。このタイプのスマホゲームはキャラ絵が「通常バージョン」と「重傷バージョン」に分かれていて、ゲーム進行中にキャラクターが大ダメージを受けると重傷バージョンに切り替わるという演出を採用しているものが多数あり、ドルフロもその一つです。
スオミはドルフロの中でもフィギュア化に恵まれたキャラクターで、この「幸せの使命」バージョンのほかに通常バージョン、「仲夏のエルフ」バージョン、「スノウエルフ」バージョンと出ていますが、なぜか全て重傷バージョンの立体化なんですよねえ。重傷バージョンって破廉恥な感じがあって私はあまり好みではないのですが、今回は嫁さんが購入したものを撮影させてもらいました。
- ダメージを受けた衣装のディテールを細部まで再現
- 元絵どおりのすらっとしたプロポーションを、そのまま立体化
- パール塗装のドレス、クリアパーツのヴェール、肌色の塗装、どれも丁寧な仕上げ
- 目元の表情が元絵と異なっており、キャラクターのイメージにそぐわない
フィギュア全体像とプロポーション
それでは全体像から参りましょう。
渋谷スクランブルフィギュアといえば、豪華な付属パーツによるボリューム感をウリにしている高価格帯フィギュアメーカーというイメージを勝手に持っていますが、これは比較的シンプルな造形でまとめられており、らしくない商品だといえます。付属のミニチュア銃器 (スオミ短機関銃) は台座に固定するではなく、好みの場所に転がしておくタイプ。
パッとみて気づくのは、元イラストと比べると顔の表情が随分と柔らかにアレンジされているところでしょうか。「冷静で真面目な性格の持ち主。生まれつき使命感が強く、完璧な勝利へかなりこだわる」と公式SNSで紹介されている性格を反映してか、元絵ではちょっと目尻がつり上がっていますが、フィギュアでは穏やかな目つきになっています。
元絵のまま立体化すると、顔を正面からみたときに整合性をとるのが難しくなってしまうというのがアレンジの理由だと思いますが、確かに自然な表情に仕上がっています。一方で、キャラクターと表情とが不一致になってしまっている気がしますが、これはどうなんでしょう。真面目な優等生少女というキャラクター設定のはずが、この表情だとお姉さんキャラに近くなっているのでは?
ほぼ裸でボディラインがはっきり出たデザイン、すらっとした美しいプロポーションで立体化されています。少女キャラクターなのでバストは控えめ、かつバスト周りは衣装が無傷なので露出もありません。パンツは割と丸見えな一方で、ヒップは手とヴェールで隠しているなど、個人的な基準でいうと自室の棚にギリギリ陳列できる程度の健全さを保っているのはプラス要素。
ディテール : 顔まわり
柔らかくアレンジされた表情についてはちょっと疑問ですが、キャラクター設定との整合性ということを気にしなければ、とてもよくできていると思います。特に、手描きか何かか?と思わせられるアイプリントの細かさは特筆もの。鮮やかかつ透明感あるブルーの色味も美しく、遠目からみても存在感を放っています。間違いなく、このフィギュアのハイライトの1つでしょう。
花嫁衣装ということでティアラを被っていますが、散りばめられた宝石の凹凸を細かいところまで再現できているのではないでしょうか。さすがにフレームと宝石との塗り分けはされていませんが、塗装自体は目立つムラやダマなどもなくキレイですね。
髪の毛はパーマで巻いており、華やかさを演出。かなり複雑な動きですが、しっかり丁寧に造形されています。ほんのりキラキラしているのは薄めのパール塗装でしょうか。これも華やかで良いですね。
毛先にはブルーのハイライトが入っており、特に背中あたりまで下ろしている毛先のハイライトは元絵よりも青味が鮮やかになっていますね。個人的には元絵のスモーキーな色味のほうが好みですが、やはりグラデーションの塗りは自然で違和感がありません。
頭に被っているヴェールはクリアパーツで表現。雪国出身のキャラクターということで雪の結晶を模した模様があしらわれていますが、これもきっちり再現されています。さすがに物理的な薄さまでは再現できていませんが、頭からヒップにかけてヴェールがふわっと立体的に広がっており、透明感とあわせて「これは軽い布なんだな」ということが一見してわかる造形になっているのは見事でしょう。
ディテール : 衣装と胴まわり
このフィギュアもう1つのハイライトは衣装のダメージ表現でしょうか。先に書いたとおり重傷バージョンということで、戦闘によってダメージを受けたという設定のデザインになっているわけですが、ただ衣装が破れたりはだけているだけでなく、焼け焦げたようなディテールが各所に加えられているのがポイント。これは元絵にはない表現ですね。
戦闘したからといって全てのダメージが銃撃や爆発によって生じるわけでもないと思うので、焦げている箇所、そうでない箇所と多少のメリハリをつけても良かったのではないかという気がしますが、総合的にみると良いアレンジだと思います。
見てのとおり、ドレスはツヤのあるパール塗装でゴージャスな仕上がり。ヴェール、髪の毛のハイライト、瞳の色と、青色が随所に散りばめられているフィギュアですが、白と青のグラデーションはとても質感が高いですね。肌は雪国出身のイメージか白味の強い美白塗装ですが、ドレスのキワ、デコルテなどピンク色のシャドー塗装がきっちり施されており、生き生きとした肌色です。
全体像の箇所でちらっと書きましたが、バストから下にかけては衣装が破れてしまっているデザインのため、前からはパンツが丸見え。パンツ自体は地味なデザインで目立たないので、せめてもの救いか。後ろからはヴェールで隠しているので、元絵どおり背中を前にして陳列すれば、そこまで破廉恥な感じはしないと思いますが、これは好みが分かれると思います。
ディテール : 脚まわりと台座
脚部に関していうと、細身ながらも太ももやふくらはぎ周りの曲線美がしっかり表現されており、まさにモデル体形という言葉がふさわしい。どうしてそうなったのかは神のみぞ知るですが、ドレスの布が足に巻き付いているのがちょっとエロティックというかなんというか。
花嫁衣装ではない通常版のキャラ絵からすると、ちょっと大人っぽすぎやしないかという気がしないでもありませんが、これは元絵を忠実に再現しているだけなので、仕方ないところでしょうか。
足元には破れたドレスが広がっているというデザイン。このドレスの皺の具合など、適当にデザインすると即座に違和感につながりそうなものですが、そのようなことは一切なく、丁寧に作り込んであることが伝わります。ここでも白と青のグラデーション塗装が綺麗ですね。
台座はなんの変哲もない半透明のプラスチック台座。他の渋谷スクランブルフィギュア商品で、ここまで素っ気ない台座って見たことない気がするのですが、やはり「らしくない」商品だという印象です。
まとめと感想
ということで、渋谷スクランブルフィギュアより『スオミ -幸せの使命 Ver.-』のご紹介でした。
細かく見ていくと丁寧な造形と仕上げ、塗装の高質感など、渋スクの名に恥じぬクオリティのフィギュアなのですが、パッとみたときの「ヒキ」に欠けるフィギュアかなあというのが正直な感想です。
元のキャラから頭身変わってないか?という抜群のプロポーションや、鮮やかなブルーの瞳は印象的なのですが、私も初見でみたときはこれといって惹かれるものは感じませんでした。
そんな地味さが仇しているのか、中古での流通価格をみると2024年の9月時点では定価27,000円ちょっとに対して未開封品でも17,000円程度、開封品は15,000円程度と、厳し目の評価になっています。ホビー系通販サイト、オークションサイト、フリマアプリのいずれでも開封品・未開封品を問わず数多くの在庫・出品がみられるので、渋スクのブランドに釣られて (転売目的含む) 買った人が多く、供給過多になっているかもしれません。
ただ、デコマスやサンプルから造形など劣化している箇所はありませんし、今まで紹介してきたとおり作りは細部まで非常に丁寧です。原作のキャラクターや全体的な雰囲気が好きならば2万円程度は出す価値のあるフィギュアだと思いますし、そうでなくても、オークションやフリマ経由で、程度の良い開封済み中古品を1万円台前半で手に入れることができれば、フィギュア好きにとってはコスパのよい買い物になると思いますよ。
個人的には、ドレスが足元で広がっている造形の都合上、ボリュームの割に陳列スペースにおける専有面積が大きいのが地味にマイナスポイント。台座が直径25センチくらいありますが、この「スオミ -幸せの使命 Ver.-」くらいのボリューム感の1/7スケールフィギュアを2体並べられますからね😓
あと、個体差はあると思いますが台座へのはめ込みがキツい。冬場だとはまらない可能性もあるので、暖房かけた部屋に置いておくとか、ドライヤーで温風を当てるとかしてあげるとよいです。
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