こんにちは.steamc1awです.
山登りばかりしておりなかなか更新できていないヘッドホン比較ですが,新年度ということで学園青春ものテレビアニメ『四月は君の嘘』のオープニングテーマ『光るなら』の聴き比べをしてみたいと思います.
『光るなら』の聴きどころ
今回の題材となる『四月は君の嘘』ですがノイタミナ枠にて2015年に放送された漫画原作のテレビアニメ.もともと原作からしてマンガ大賞ノミネート,講談社漫画賞受賞と人気のある作品でしたが,テレビアニメのほうもヒット作になりましたね.
ネタバレになるのもよくないので詳しくは書きませんが,母親の死をきっかけに音楽から離れていたピアニストである主人公が,ヴァイオリニストのヒロインとの出会いをきっかけに音楽への情熱を取り戻す…というストーリー.特に物語終盤はどうしてなかなか泣かせる展開となっています.A-1 Picturesによるアニメーションも素晴らしい.
本曲は作品前半(1話-11話)のオープニングテーマとなるので,どちらかというと甘酸っぱい青春や繊細さをイメージするのが適切なのでしょうが,この『四月は君の嘘』は物語終盤のインパクトが強く,個人的には命の煌き,力強さ,生への希望といったキーワードを期待したいところです.
PICK-UP HEADPHONES
比較した13機種の中でも,特にイメージどおり鳴らせているなと思ったヘッドホンをピックアップしました.
AKG K812
オーストリアはウィーンを創業地とする名門音響機器メーカーAKGから,K7xxシリーズに代わる新たなフラッグシップ機種としてリリースされた “AKG K812”.前回の『SHINY DAYS』そして前々回の『Cocoiro Rainbow』と不本意なFair評価に沈んでいましたが,堂々のピックアップ選定です.
まずは音色の繊細さ・美しさですね.ピアノにヴァイオリンと,楽器をテーマにした作品なので音色の繊細さ・美しさは一定レベルを期待したいところですが余裕でクリア.女性ヴォーカルだけでなく男性ヴォーカルも艶やかな声色で,学園生活の青春模様が垣間見えるところも良いですね.
楽器・ヴォーカルともに比較的音数が多いにも関わらず,賑やかサウンドに流れずカッチリとまとめているところや,狭すぎず広すぎずの丁度いい空間表現も好印象でした.
一番のポイントはサビへと突入するタイミング.オープニング映像でも,サビに入ると同時に学園生活からコンサートへと場面が切り替わりますが,まさにそのシーンが脳裏に浮かぶよう.蕾が鮮やかに花開くような,命が火花を散らすような,そんな生き生きとした迫力あるコーラスを奏でることができていたのは本機だけでしたね.
その他のヘッドホンのインプレッション
今回とりあげた『光るなら』ですが,どのヘッドホンも比較的きっちり破綻なく鳴らしてくれたので,評価が難しかったなあ…というのが正直な感想です.そうなると基本性能の高さでAKG 812やSENNHEISER HD800などのハイエンドヘッドホン勢に有利となりました.FOCAL ELEARも求める音の方向性こそ違いましたが,魅了されるサウンドだったことは否定できません.
一方で,ここしばらく好評価に恵まれないのがULTRASONE PRO2900.基本的にロックや打込み音楽を得意としている機種なので,こういった曲で実力を発揮できないのは予想していたことなのですが,ここまで他のヘッドホンが横並びになっているなかで開放型唯一のFair評価.本当に得手不得手が激しいなあと驚いています.
強いていうならばヴォーカルや金管楽器,シンセサイザーの音色が中心となって曲のイメージを構成しているので(PRO2900もそうですが)あまり低音の強いヘッドホンは向いていないように思いました.ELEARのように中音域まで力強い場合はまたちょっと違うのですが.
EXCELLENT😍
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AKG K812 | ピックアップコメント通り.音色そのものの美しさとコーラスパートに突入する際のコントラストある盛上がりは本機種ならではですね. |
GRADO LABS GH1 | K812から繊細さを抜いて柔和さを加えたような音色で,甘酸っぱい青春というイメージはこちらのほうがうまく表現できています.コーラスパートの鮮やかさもK812に劣りません.唯一グラド製ヘッドホン特有の音の近さがこの曲向きではない気がしてピックアップでは取りあげませんでしたが,よい音を奏でてくれます. |
SENNHEISER HD800 | 音色そのものの美しさ・官能という点では上記2機種と比べて特筆すべきものはないのですが,サビのコーラスパートにおける大スケールには興奮を禁じえません.一方で,Aメロからサビまでの流れに抑揚がなくK812やGH1のような高揚感に欠けるところが惜しい. |
GOOD 😊
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AKG K701 | 爽やかなヴォーカルが特徴で,学園もの・恋愛もののイメージはうまく表現できていると思います.低音域が弱くコーラス部分の華やかさがあと一歩足りないのが惜しいですね.AメロBメロだけであれば高評価. |
PHILIPS Fidelio X2 | K812に対するGH1のように,K701に対して穏やかな音色.やや低音が過剰なほかはバランスよく鳴らしているのですが,この曲のイメージとしては鮮やかさが欲しいところ.その点において本機種は音がふわふわしすぎているように感じます. |
GRADO LABS SR325e | 透明感ある高音域が素敵.曲のイメージにドンピシャという感じはありませんが,音色だけでみればこのヘッドホンもよい音を鳴らしてくれていると思います.グラド製ヘッドホン特有の音場の狭さはマイナス. |
audio-technica ATH-AD2000 | 上記3機種と比べるとこれといった個性はありませんが,バランスよくまとまったサウンドです.下のHD700と比べると,こちらのほうが若干ですが華やかさ・迫力という点で勝っているか. |
SENNHEISER HD700 + 銀ケーブル | これといって突出した要素のない音色.ヴォーカルに華やかさはありますが艶やかというほど官能的ではなく,音場も狭すぎはしませんがK812と比べるとコンパクト.とはいえバランスよくまとまっており安心感があります. |
FOCAL ELEAR | 他のヘッドホンではヴォーカルと金管楽器の主張が強いところ,ギターやヴォーカルの音が渾然一体となって押し寄せてくるフォーカルサウンドは流石.本機種の熱っぽい押しの強さは曲のイメージとあまりマッチしていないのですが,それでも勢いで納得させられてしまうだけの地力があります. |
beyerdynamic DT990PRO | ドンシャリの「ドン」のほうは,もともと低音量の多い曲ではないので思ったほど気になりません.どちらかというとヴォーカルが炭酸水みたいにシュワシュワしちゃうほうが違和感ありますね.とはいえどちらも曲のイメージが破綻するほどのマイナスではありません. |
SENNHEISER HD650 | やや低音重視かつ柔らかめのサウンド.違和感を感じるところはありませんが,これといって評価すべきポイントも見つからないというのが正直なところ. |
FAIR 😞
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SENNHEISER HD25 Alum. + 銀ケーブル | 予想できていたことですが低音域過剰ですね.とはいえタイトな音なのでPRO2900のブーミーな低音のような嫌らしさはありませんし高音域は明瞭で好ましい音色.なのですが,やはりこの曲に求めているサウンドではないですね. |
ULTRASONE PRO2900 | こちらも低音域過剰.さらに低音重視の他機種と比べてタイトさがなく緩いので,どうにも引き締まりません.結果として楽曲全体に低音のヴェールがかかったようなサウンドになってしまっており,これはなんだかなあと. |
更新履歴と上流機材
ヘッドホンのインプレッション追加履歴および,その際の使用機材の一覧です.
日付 | 更新内容 |
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2021年4月24日 | 初版アップロード.使用機材: Raspberry Pi 3 ➡ ONKYO DAC-1000 ➡ Burson Audio Soloist SL Mk.2 |
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