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【山行記】暴風で無念のリタイア!桜平から登る晩秋の硫黄岳

こんにちは.steamc1awです.
以前登った天狗岳の写真を山友に見せたところ,八ケ岳いってみたいねという話になり,雪が降りはじめるまえのギリギリ駆込みタイミングで硫黄岳に登ってきました.タイトルのとおり予定していたコースの途中で撤退することになってしまいましたが,それでも魅力的な山行でしたのでご紹介します.ではではどうぞ.

山名硫黄岳
山域南八ケ岳連峰
標高2,760m
登山日2020年11月21日
天候曇りのち晴れ⛅️
備考

天狗岳の山行記はこちらの記事となります.暇があれば読んでみてください.

目次

硫黄岳について

硫黄岳(いおうだけ)は,長野県の茅野市と南佐久郡南牧村にまたがる標高2,760 mの山.八ヶ岳連峰にあり,八ヶ岳中信高原国定公園に属する.山頂付近はなだらかだが,南北両側に巨大な爆裂火口跡があり,断崖絶壁となって鋭く切れ落ちている.

Wikipediaより

硫黄岳の登山コース

桜平コース:桜平駐車場からオーレン小屋を経由し,夏沢峠または赤岩ノ頭から硫黄岳に至るコース.

本沢温泉コース:本沢温泉登山口から本沢温泉,夏沢峠を経由して硫黄岳に至るコース.

硫黄岳は南北八ケ岳連峰のちょうど中間あたりに鎮座している山なので,ほかにも赤岳鉱泉を経由するコースやしらびそ小屋を経由するコース,はたまた他の八ケ岳連峰の山々を絡めた縦走コースなどバリエーション豊かなコースが楽しめますが,最短距離で硫黄岳に至るのは上記2つのコースになるかと.

今回は以前の天狗岳山行でちらっと見えた根石岳まで足を伸ばしてみたいなと考えていたので,オーレン小屋から赤岩ノ頭を経て硫黄岳のピークを踏み,夏沢峠から根石岳を登り返したのちにオーレン小屋に降りてくるという行程を組んでみました.もしペースに余裕があれば天狗岳を再訪しても良いかななんて欲張ってみたり.

下山後にGPSを切り忘れてしまったため山行地図はありません.すみません🙇

桜平駐車場へのアクセス

桜平駐車場へは中央自動車道の諏訪南I.C.で下車し,のどかな田園風景を眺めながら20分ほど車を走らせたのち,未舗装路をこれまた20分ほど走って到着となります.

なおグーグルマップは桜平駐車場に至る未舗装路を道路として認識しておらず,天狗岳への玄関口である唐沢鉱泉まで行ったうえで尾根筋やら谷筋やら超えて桜平駐車場に到着するというトンデモなルートを案内してくれます.唐沢鉱泉に向かう途上,地図上では中京大学のセミナーハウスを過ぎたあたりで分岐する未舗装路が正しいルートですので,直進して唐沢鉱泉まで行ってしまわないよう注意.

その未舗装路ですが,若干の凸凹があるものの比較的ちゃんと整備されているので,ミニバンなど一般的な車種なら注意しながら走行さえすれば走破できそうな雰囲気を感じました.スポーツセダンのような一般より最低地上高の低い車種だとちょっと危うさがありますね.ディスカバリースポーツならもちろん余裕です😎

それよりも駐車場が下・中・上とあるのですが桜平駐車場(下)は登山口から徒歩30分はかかりそうな距離にあるので,ピークシーズンは早めの到着を心がけることに注意したほうがよいかと思います.

当然のことながら公共交通機関によるアクセスはできませんが,夏沢鉱泉に宿泊するのであれば茅野駅から送迎してもらうことが可能なようです.食事なしで一泊12,000円(冬季)または10,000円(その他)也.

硫黄岳の山行記録

桜平駐車場から夏沢鉱泉へ

日の出からすこし遅れて桜平駐車場(中)に到着.桜平への分岐までは予定より早く到着したのですが,暗闇のなかの未舗装路を走るのにビビってコンビニで仮眠していたところ寝すぎてしまい,登山口に到着した頃には桜平駐車場(上)が満車になってしまっていました.仕方ないので15分ほど登山口まで歩いてからスタート.

駐車場から登山口までの林道
晴れの予報のはずがガスまみれ…

桜平登山口から夏沢鉱泉までは車両の乗入れも可能な林道となっており,登山というよりは田舎道をウォーキングしていると言うべきような緩い登坂.なおこの日は終日晴れの予報だったのですが,茅野市から八ケ岳を眺めると暗い雲がたちこめており,案の定というか登山道上もガスまみれ.夏沢鉱泉からは槍穂高連峰がよく見えるとのことですが,槍穂高どころか本日目指す硫黄岳すら影もかたちも見えません.

夏沢鉱泉.なかなか立派な建物です.ガスが酷くなっているという😭

夏沢鉱泉の営業時間や宿泊に関する情報はこちら!

夏沢鉱泉からオーレン小屋へ

夏沢鉱泉では特にすることもないので,お手洗いだけ借りて(100円)登山再開.
ここから本格的な登山道に入りますが険しさはまったくなく,樹林の雰囲気が異なるほかは奥多摩でも登っているかのような難易度.これで天気がよければウキウキ気分で登れるのでしょうが,視界10メートルあるかないかというガスの中ではまったくもってテンションが上がらず.

とてもよく整備された登山道.曇天と苔でなんか陰湿な雰囲気です
小トトロみたいなトンガリ耳を発見
オーレン小屋まではずっと沢沿いを登っていく

オーレン小屋に近づくにつれチラホラ下山してくるハイカーとすれ違うようになります.人によってはポツポツ会話を交わすのですが,皆さん「上のほうは風が強いから気をつけてね」と.うち1人はなんと夏沢峠まで行ったものの強風で撤収してきたということで,どうするか悩みますが,とりあえず登ってみることに.

しばし晴間が覗き,ついに天候回復かと思いきや曇天に逆戻り

これといった難所もなくアッサリとオーレン小屋に到着.なおオーレン小屋は冬季休業があり,2020年10月31日で営業終了し翌2021年5月1日まで休業閉鎖となります.アルバイト募集の張紙がしてありました.

これは下山時撮影なので快晴ですが,往路はガスまみれでした
天候がよければ夏沢峠~硫黄岳の稜線を望むことができる

オーレン小屋の営業期間,営業時間や宿泊に関する情報はこちら!

このあたりから風が強まり冷えこんできたので,オーレン小屋のベンチにてミッドレイヤーと手袋を着用.あとウィダーインゼリーで栄養補給.そうこうしているうちに追いついてきた壮年5人パーティを追いかけるようにしてオーレン小屋を出発します.

オーレン小屋に併設されているキャンプ場.利用料は1人あたり1,000円也

オーレン小屋から赤岩ノ頭へ

オーレン小屋を発ってしばらくは,それまでと同じ樹林帯のなかを歩いていく.ただしオーレン小屋までのような緩やかな登りではなく,ようやく登山らしい傾斜のある区間となります.

樹林帯のなか高度を稼いでいく
そこかしこに立派な霜柱ができていました
コケ類も朝露が凍りついています

途中,蜂の松目なる小ピークへの分岐がありますが,これはスルーして赤岩ノ頭へ直進.
登っていくにつれ霜柱が目立つようになり,あるところからは薄っすらと樹木の表面が凍りつくように.そしてこのへんからようやくチラホラと雲の切れ間が見えるようになります.これは期待がたかまる!

上のほうは立派な霧氷が期待できそう
だんだんと寒さが身にしみるようになってくる
ついに青空が! 白くお化粧した木々とのコントラストが美しい

赤岩ノ頭の手前で森林限界をむかえると同時に,ついに青空を拝むことができました.
背後からかなりの風が吹きつけてくるので,先行する5人パーティに追いついたところでミッドシェルを着用.ニットキャップを被っていましたが顔が冷えるのでフードも被って行動再開します.

赤岩ノ頭の数百メートル手前でハイマツ帯へ.青空と太陽がまばゆい
先行パーティに続いてハイマツ帯のなかを登っていく
中望遠でトンネルっぽさを出してみました
美しい霧氷.いずれ冬山にチャレンジしてスノーモンスターも見てみたいものです

森林限界を迎えたあとはハイマツ帯のなかに設けられた階段を登っていき,硫黄岳との分岐へ.赤岩ノ頭は硫黄岳から数十メートルほど反対方向に登る必要があり,ここで硫黄岳へ直進する先行パーティとはお別れ.また,付近には赤岳鉱泉から登ってくる登山道との合流もあります.

赤岩ノ頭手前から登山道を振り返る.雲がなければアルプスを望むことができるはず
赤岳鉱泉方面との分岐を直進するパーティ
やっぱり登山道の写真は人がいたほうが良い
赤岩ノ頭.蜂の松目への登山道が通っているだけで休憩スペースもなし

赤岩ノ頭から硫黄岳へ

赤岩ノ頭のピークを踏んだのち,硫黄岳へ向かいます.赤岩ノ頭から硫黄岳への稜線は左手に茅野市の市街地およびアルプスの山々,右手には横岳・赤岳という贅沢な眺めを楽しむことができる絶景スポット.

横岳方面.生きているかのように渦巻くガスの流れは見ていて飽きませんね
赤岳と阿弥陀岳.登山欲求が掻き立てられる
稜線上にある立派なケルン
左手奥には天狗岳の双耳峰を望むことができます

天候は回復したし,素晴らしい眺めだし,本当にきて良かった…😭 などと感慨に浸りながら登っていたのですが,オーレン小屋からの登山道から稜線に出て数十メートルほど歩いたところで,向かって左手(西側)からの強烈な風に晒されるように.不意打ちでリュックを横から煽られると一瞬グラっとなるほどの風なのですが,私も同行者も稜線上で強風に晒されたことがなく,ここでかなりペースダウン.

左手に遮蔽物があるうちはいいのだが…
こういう吹きざらしの場所では強烈に煽られる
かなり時間がかかってしまったが,なんとか頂上直下の岩陰までたどり着くことに成功

苦戦しつつも頂上直下の岩陰まで到着.
ここからも横岳・赤岳・阿弥陀岳といった南八ケ岳の山々を別アングルで望むことができます.

硫黄岳から横岳へと続く稜線.ここも歩いたら気持ちよさそうだなあ
稜線の続き.再来年くらいには行くんだ…
横岳のズームアップ.なんとも逞しい山容.
南八ケ岳の大パノラマ.光芒は綺麗に出せたのだけど凄まじいゴーストが😓

硫黄岳頂上にて撤退決定

あとは岩場をまわりこめば硫黄岳の頂上に到着です.
硫黄岳の頂上は平坦で,いつもであればピクニックするのに最高なロケーションのように思えるのですが,この日は道中の稜線以上に凄まじい風が吹いており,ピクニックどころか昼食休止すら困難という有様.

硫黄岳頂上.本当に平坦なのでかなりの人数を収容できそうです

特に夏沢峠方面からの猛風が凄まじい.もはや猛風というよりも爆裂火口が爆発している爆風なんじゃないかという勢いです.立って進もうものなら押し戻されるくらいの風速.頂上には70歳くらいの先客ハイカーさんがいて,夏沢峠から登ってきたというのですが,いくら追い風とはいえよく登ってきたなと.

爆風のなか匍匐前進するレベルで地面を這いまわり,ようやく撮影できた爆裂火口

風の切れ間をついたり,姿勢を低くすれば進めないことはないのですが,夏沢峠から硫黄岳の稜線は歩いたことがないので遮蔽物がどれくらいあるかもわからない.下手したら稜線上で立ち往生などという最悪の事態も想定されるし,硫黄岳頂上の時点で想定タイムよりやや遅れているので,頑張って夏沢峠まで到達したものの根石岳まで足を伸ばす時間的余裕がなくて結局そのままオーレン小屋まで降りる羽目になる可能性も大いにある…などなどの事情を勘定した結果,おとなしく撤収するのが得策という結論に.

この絶景を眺めながらお昼ごはんを食べられただけでも登ってきた価値はあるんだけどね

爆風のせいで山頂は食事どころではないので,いったん頂上直下の岩陰まで戻り,夏沢峠から登ってきたというお爺ちゃんハイカーさんと軽く昼食をとったのち下山をはじめます.

下山するころには霧氷もだいぶ解けていました

根石岳まで登るつもりが硫黄岳で撤収することになり,少し物足りなかったので往路でスルーした蜂の松目に行ってみようかという話になったのですが,あまり歩かれていない道なのか赤岩ノ頭をすぎたあたりで登山道がハイマツに塞がれてしまったので,これも引き返して往路と同じ道をピストンで下山.

ハイマツとアルプスの山々
奥にみえるピークが蜂の松目
下山するころにはあたり一面の快晴になっていました

桜平から登る硫黄岳の感想

というわけで想定していたコースの3/2ほどで撤収することになってしまった硫黄岳ですが,比較的簡単に稜線まで出ることができるうえに南八ケ岳の展望が素晴らしく,とても良い山行でした.とはいえ硫黄岳そのものは山頂にもほとんど滞留できずすごすごと下山しているので,他の山と絡めた縦走でまた登らなきゃならないなあ…と思っているところ.

予定していた根石岳まで足を伸ばすコースも悪くありませんが,横岳や赤岳の雄姿をみてしまうと,いずれは硫黄岳から横岳,赤岳を制覇して戻ってくる周遊コースなんてのも良いなあ,と妄想ばかり膨らんでしまいますね.

山行当日の装備

いつも恒例の装備ですが,登山靴だけ防水仕様のサロモン製シューズをデビューさせてみました.
ちょっと足首の固定がよくなくて靴ずれしそうになってしまったので,そのへん次回は気をつけて履かないとダメですね.あと思ったよりも靴の重さが疲れに直結する感じがしたので,軽量シューズに頼りすぎるのもよくないなと反省.

服装は,珍しくミッドシェルまでフル装備で行動.私がよく行く塔ノ岳なんかは風が穏やかであれば真冬でも行動中はミッドレイヤーすら不要なくらいで,ミッドシェルはいつも持っていくだけでリュックの肥やしになっていたのですが,ついに有効活用することができました.とはいえ,この日の気候だとまだオールシーズン装備で十分.

そのほか気になったのはグローブかな.オールシーズン用のグローブですが,今回のように風が強いと袖口から風が入ってきてしまって手首が寒いので,もうちょっと手首までカバーできるタイプのものがあればよかった.もっともこれは体へのフィット具合を優先して,若干袖の足りないサイズのウェアを着ているせいでもあるのですが.

登山道具finetrack スキンメッシュ
finetrack メリノスピンライト
finetrack ドラウトクロー
finetrack フロウラップフーディ
Millet TYPHON 50000
ワコール CW-Xスポーツタイツ
finetrack フラッドラッシュEXPグローブ
Salomon X ALP MID LTR GTX
Millet MATRIX 30 MBS
撮影機材SONY a7ii
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark2
Zeiss Batis 2/40 CF
LAOWA 10-18mm FE ZOOM
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm
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