こんにちは.steamc1awです.5月24日に日本百名山の1つである埼玉県の両神山に登ってきました.
奥秩父は今まであまり訪れることのなかったエリアで,武甲山(と大持山・小持山)しか登山経験はありません.自家用車を購入して行動範囲が広がったので普段より少し遠目の山ということで選んでみました.
登山ルートおよびアクセス
両神山を登る場合,日向大谷から登る表参道コースと上落合橋から登る八丁峠コースの2つのコースから選ぶことができます.八丁峠コースは鎖場多数で経験者向きとのことだったので,初チャレンジである今回は表参道コースを選択.
表参道コース自体も薄川沿いを登るコースと七滝沢沿いに登るコースに途中で分岐するのですが,七滝沢コースは崩落により閉鎖中とのことでピストン登山と相成りました.
両神山は標高1,700メートルある山ですが,スタート地点の日向大谷が標高600メートルあるため標高差は1,100メートルほど.都内近郊でいえば塔ノ岳あたりを登ることができる体力・経験があれば十分にチャレンジ可能かと思います.
両神山登山口(日向大谷口)へのアクセス
横浜から自家用車でアクセスする場合,東名高速道路を経由して関越道「花園インターチェンジ」で退出.秩父市,小鹿野町と経由して日向大谷に到着します.海老名ジャンクションから圏央道というルートもありますが,うちのディスカバリスポーツは燃費が悪いので走行距離が短そうな東名高速道路経由を選びました.
登山口への最後のアプローチは一部区間にて離合困難な狭路となります.とはいえ離合さえなければ車幅1,900mmのSUVで問題なく通行できましたので,そんなに気にするほどではないかと.
路面もしっかり整備されていますが,ところどころ落石があるので最低地上高の低い車で通行する場合は要注意.駐車場から登山口手前にある両神山荘へ歩いていたところ,日産セレナか忘れましたがミニバンがシャーシ底をゴリッとやっていました.「アッ…😨」という雰囲気のドライバーさんと視線があってしまい,一瞬気まずい空気が流れましたね💧
清滝小屋をこえて産体尾根へ
この日の天気予報は曇のち晴れ.午後に向けて天気が回復することを祈りつつ埼玉方面に車を走らせます.
関越道を走りながら空の様子をみていると,太平洋方面は雲も薄く,ところどころ青空が見えるのですが内陸側は厚い雲が垂れ込めており晴天は期待薄.県道279号線を日向大谷口に向かって登っていくにつれガスまでかかってきました.駐車場から両神山方面にカメラを向けてみてもファインダーが真っ白です.
とはいえ来てしまったものは仕方ない.まずは日向大谷口からの登山口へ.山岳信仰の篤いことで有名な山だけあり,立派な鳥居が迎えてくれます.そばにある祠にて本日の安全登山を祈願したのち登山スタート.
登山口から,薄川コースと七滝沢コースが分岐する会所までは斜面沿いをトラバースするような登山道がずっと続きます.だいたいの区間において離合可能な幅員が確保されているのですが,1人がギリギリ通行できる狭さの箇所もあり.滑落事故も起きているようなので,体が疲れている復路は注意が必要かもしれません.
とはいえ往路ではまだまだ元気ですし高低差も大したことないのでサクサク歩いていきます.
登山口から10分ちょっとのところに鎖場あり.この箇所は鎖を使わなくても進めます.
登山道を30分ほど歩くと会所に到着.このあたりで七滝沢コースと分岐しますが,七滝沢コースは崩落のため通行禁止.このコースは羽根田治の著書「ドキュメント 単独行遭難」にて沢沿いで一週間近く遭難したというハイカーの体験談が取りあげられています.薄川コースと比べると道が不明瞭なようで,通行されるかたは注意したほうがよいかも.
薄川コースを進む場合は会所の少し先で渡渉.前日まで雨が降っていたことで普段より水量が多いのか,渡渉箇所を少し考えさせられるような状況でした.流されるような危険箇所はありませんでしたが,この先も何度か渡渉しながら登っていくことになるので,台風など大雨のあとに登る場合は気をつけたほうが良いかと思います.
ちなみにこの箇所,正面のピンクテープに気をつけていないと渡渉して右手の沢沿いに吸い込まれそうになります.このときは先行者がいたので大丈夫でしたが,いなかったら沢登りしていた釣人につられてコースアウトしていたかも.
ここまで多少のアップダウンはありつつも平坦な道でしたが,薄川を渡ってからようやく徐々に高度を稼ぎはじめます.薄川を見下ろすように高巻きの斜面をトラバースしたかと思えば川沿いに戻って渡渉して…を繰り返しながらの登攀.急登といえるほどの斜面はありません.
鮮やかな緑と沢沿いの冷たい空気が心地よい…と言いたいところなのですが,まとわりつくような湿気のおかげで汗がまったく乾かず.気温はそんなに高くないはずなのですが,体感の不快指数は相当なものがありました.
薄川コースは大きく北側に巻くように川沿いを離れるのですが,このへんからあまり記憶がありません….
というのも22時に就寝して翌2時30分に起床して知人を拾ったのち両神山に向かう予定が,ちょうど真夜中に目が覚めてそのまま眠れなかったんですよね.
登れば登るほどガスは濃くなるし,川沿いを離れたことでコース自体も地味.そんな状況下でも写真を撮っていたのは褒めてあげたいところですが,えんえんと「眠い」「じめじめする」「しんどい」「清滝小屋はまだなのか」が頭の中をループしていた記憶しかありません.
いったい何回「清滝小屋はまだか」とスマホのGPSアプリを開いたでしょうか.ようやく清滝小屋に到着.
前日の雨と朝露でベンチは使い物になりませんでしたが,立派な小屋があり中で休憩できるようになっていたのが不幸中の幸い.子連れファミリーが楽しそうにカップラーメンを食べる傍らで10分ほど死体のように転がっていました.
清滝小屋を過ぎたあたりから本格的にガスが濃くなり,10メートル先が見えるかもあやしいくらい.ここまでガスが濃くなると,どこにカメラを向けようが神秘的な雰囲気が漂うようになるので,これはこれで悪くありません.
しかし登山道は斜面につけられた九十九折を登っていくという苦行が相変わらず続きます.
産体尾根から鎖場をこえて山頂へ
七滝沢コースと合流し,まだまだ続く九十九折の登山道を登っていくと産体尾根に到着.この日はじめての尾根筋!
尾根筋に出たことで多少ですが風を感じられるようになり,ダラダラした登りではなく平坦と登りが交互に登場するメリハリあるコースに.眠気のピークも過ぎたおかげで生き返ったように気力が戻りました.
そして,表参道コースの核心部(というと大袈裟ですが)にあたる鎖場に到着.
コース序盤で登場した鎖場よりもずっと傾斜はキツく,鎖なしでは厳しい箇所もあります.とはいえ鎖場の左右が切り立っているわけでもないので難易度としては低め.足元が濡れていたので復路は警戒しながらそろそろ降りましたが,登りはアスレチック感覚でガンガン進むことができます.
鎖場をすぎると平凡な登山道に逆戻りですが,鎖場のおかげでテンションが上がっていたため,難なく途中の横岩を通過し両神神社まで到達.清滝小屋で丸太と化していたのが自分でも不思議なほど快適に登ることができましたね.
両神神社には祠が2つあり,信仰の篤さを伺わせます.近代登山がメジャーになるまでは女人禁制だったそう.写真は登り方向ふたつめの祠.ガスの真っ只中にいると,山に神々が宿っているという山岳信仰もあながち嘘じゃないんじゃないかと思えてくるから不思議.
両神神社まで登ってしまえば,あとは快適な尾根歩き.とはいえガスっているので尾根の左右ともに展望はありませんし,木々に囲まれているのでガスっていなくても展望は望めないのではないかと思います.
最後に山頂直下のゴツゴツした岩場・鎖場を通過して両神山のピークへ.ここは思っていたよりも険しくて休憩スポットがありません.ソロまたはペア登山であればお昼ごはんを食べるスペースも多少ありますが集団だとまず無理ですし,八丁峠コースから登ってくる人もいるので場所を確保できるかは運次第.
山頂からやや下ったところに6人くらい座れるベンチが1つあるので,グループ登山の場合はそちらを狙ったほうが良いと思います.
この日はコロナ警戒明けかつ天気もそんなに良くなかったので人も少なく,休憩スペースを無事確保することができました.前回記事の御前山にて初登場した「雪村あおい」ねんどろいどフィギュアと一緒に撮影してみましたが,パースかかりすぎ&周辺部流れすぎでワープしているような写真になってしまった….焦点距離10mmは広角側に寄せすぎましたね.
LAOWAことVenus Opticsが今度はフルサイズ9mm F5.6という変態単焦点レンズを開発中という情報が先日ネットで流れていましたが,一体全体どんな世界になるのか想像もつきません.
山行の感想とか反省とか
復路は同じコースのため割愛.曇りのち晴れという天気予報どおり,降るにつれ少しずつガスが晴れてゆき,登山開始時は真っ白だった駐車場からの展望も,おそらく逸見ヶ岳と思われるトンガリ帽子がみえる程度には回復していました.
とはいえ両神山山頂からの展望がゼロなのは変わらなかったと思うので,派手にガスが垂れ込めてくれたことで神秘的な雰囲気を楽しむことができて,結果的によい山行になったのではないかと思います.
さて,両神山ですが,百名山というネームバリューはありますし産体尾根から先の尾根歩きや鎖場は楽しい山です.ただ,そこまで延々と続く谷沿いの登山道が楽しいかというと,コンディションが良くなかったこともあって辛い記憶しか残っていないというのも事実.今度は天気の良い日に八丁峠コースからチャレンジしてみたいですね.
写真撮影という観点からは,霧のなかで雰囲気のある写真を何枚か撮ることができたのは満足.山頂の写真はもうちょっと何とかできたのではないかと思うほか,撮れ高がイマイチだったのも反省点ですね.
今回は装備軽量化のためSONY a7だけで登りましたが,渓流をみるとOLYMPUS OMD-EM-1 MarkIIの手ブレ補正が恋しく感じてしまうので,うまくSONYとOLYMPUSを使い分け・併用できるようにならないといけないなと.とはいえレンズ付替えの手間さえ我慢すればPlanar T* 50mmとLAOWA 10-18mmで焦点距離に不満は感じていないので,やはりOLYMPUSの使いどころを工夫するか,SONYに一本化するかを考えたほうが良いのかもしれません.
いまの有力候補はM.ZUIKO 12-100mmをLeica DG 100-400mmに買い換えて山行対応の野鳥撮影機にしてしまうプランですが,自家用車を買ってしまったおかげで当分は大きな出費ができないので,じっくり考えたいですね.
参考:当日の服装・装備
当日に着ていった・持っていったものはこんな感じでした.
服装 |
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カメラ/レンズ |
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カメラアクセサリー |
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鎖場が複数箇所あります.軍手でも構わないので手袋は準備しておきたいところ.
尾根筋に出るまで「finetrack メリノスピンライト」だと少々暑かったですね.今回は湿度の問題もありましたが,そもそもメリノスピンライトはやや厚手で春秋+冬の低山向けの製品なので,そろそろもう少し薄手のベースレイヤーに着替えるべき時期なのかもしれません.
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