
2025年12月に公時神社から登った金時山の山行記録をお届けします。
箱根という首都圏近郊にあり、かつ初心者向けのコースを往復するだけであればコース距離2.1キロメートル、標高差520メートル、コースタイム3時間ちょっとという手ごろさで人気の山です。今回は山頂までをピストンするのではなく、隣にある長尾山への縦走を絡めたコースで登ってきました。
金時山は富士山の見事な眺めと、箱根一帯を一望できるパノラマビューが魅力の山で、ここを登るだけでも十分な達成感を得られますが、長尾山までのコースはハイカーも多くなく、静かな稜線歩きを楽しむことができるので、初心者ハイカー向けの縦走コースとして是非オススメしたいです。
| 山名 | 金時山 |
| 山域 | 箱根山 |
| 標高 | 1,212m |
| 登山日 | 2025年12月31日 |
| 天候 | 晴れ |
| 備考 | 日本三百名山 |
金時山への登山ルートについて

金時山(きんときやま・きんときさん)は、箱根山の北西部に位置する標高1,212mの山。別名は猪鼻岳で頂上に猪鼻神社が祀られている。箱根山カルデラを囲む外輪山列で最も高い山であり、山頂付近は植生の少ない風衝地となっている。
Wikipediaより
計画した登山ルート
金時山は箱根山のカルデラをぐるっと囲んでいる外輪山の北西部に位置している山で、外輪山を東西から縦走してくるルートを除外すれば、南の箱根側からアクセスするか、北の南足柄市からアクセスすることになります。大多数のハイカーは登山口へのアクセスが良く、登山道もよく整備されている箱根側から登るんじゃないでしょうか。また、私の記憶が正しければ南足柄側は2020年前後、台風被害で数年単位で通行止めになっていました。
今回利用するのは、金時山への正門といえる公時神社からのコース。山頂まで距離にして2キロメートル、標高差500メートルほどという初心者コースです。さすがに、この距離を行って戻ってのピストン登山では味気ないので、そこから箱根外輪山沿いに長尾山を縦走し、乙女峠から下山するというルートを計画しました。
公時神社へのアクセス
有名観光地である箱根に位置するだけあって、公時神社へは自家用車だけでなく公共交通機関でもアクセス可能です。なお、金時山への登山口となる神社は神奈川県箱根町の「公時神社」ですが、隣接する静岡県小山町にも「金時神社」があるので、地図アプリで行先検索する際には注意が必要です。
自家用車によるアクセス
私は神奈川県民なので、西の小田原方面からアプローチするのですが、首都圏からアクセスする場合、多くの人にとって最寄りのインターチェンジは東名高速道路の御殿場ICになるはず。そこからは国道138号線を箱根方面に向かって走っていき、乙女トンネルで乙女峠をくぐって箱根町に入ると、公時神社は間もなくです。
公時神社には公衆トイレが併設された無料駐車場があるのですが、10台ぶんのキャパシティしかありません。とはいえ無料駐車場が満車だった場合にも近隣のゴルフ練習場が運営する一日800円の有料駐車場が利用できるので、そこまで駐車場難民になることを心配する必要はなさそうです。

| 駐車台数 | 10台前後 |
| 駐車料金 | 無料 |
| トイレ | あり |
| 座標 | 3335.27824999412513 | 139.00256625800512 |
公共交通機関によるアクセス
公共交通機関を利用する場合、最寄りは箱根登山バスの「金時神社入口」 (ここは公時じゃなくて金時なんですよね…紛らわしいです) バス停で、新宿と箱根を直結する小田急ハイウェイバスの高速バスが停車するため、本数は限られますが新宿駅から直接アクセスすることができます。週末ダイヤの場合、始発バスは新宿駅を6時35分に出発し、金時神社入口には8時39分に到着します。
ただし、路線バスのほうは、金時神社入口に停車するのは御殿場アウトレットを起点とする路線がほとんど。特に、復路となる御殿場・新宿方面のバスは1時間に1本も走っていないので、しっかり計画を組んで動かないとハマりかねません。基本的には箱根北西エリアのジャンクションターミナル的存在である「仙石原」バス停 (金時神社入口まで15分程度の距離です) を利用することになるでしょう。
仙石原バス停へは小田原駅東口から箱根登山バスが出ており、所要時間は約40分。始発バスは6時台から出ていますから、12月のような冬季であれば、まだ薄暗い時間から登山開始することができます。また、仙石原バス停であれば、帰りの時間帯も小田原駅行きのバスが1時間あたり4-5本出ていますし、終発バスも20時台まであるため、バスの時間を配することなく登山を楽しむことができます。
12月の金時山の山行記録
公時神社から金時登山口コース合流地点
公時神社駐車場には6時30分頃に到着。大晦日だったので、そこまで混雑はしていないだろうと思っていましたが、普通車が駐車できるスペースはラスト1枠となっており、滑り込みセーフでした。ただ、先に書いたとおり近隣にハイカー向けの駐車場が存在するため、そこまで早く到着することに拘る必要はないと思います。ちなみにこの駐車場に併設されている公衆トイレは、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の舞台が箱根をモデルとしていることから、同作品とのコラボデザイン。アニメファンであれば必見ですね。
金時山への登山口は駐車場すぐ脇にあり、まずは公時神社への参道を歩いていきます。社務所で鶏を飼育しているようで、夜明けの時間帯ということもあってかコケコッコーと鳴き声が盛んに響いていました。
この公時神社ですが、平安時代の武士である坂田公時が祀られている一風変わった神社です。坂田公時は金太郎伝説のモチーフとなった人物で、源頼光 (平安時代の武将、藤原道長に仕えた) 四天王の一人とされていますが、実在は疑わしいとされており、源頼光の警護を担当した下毛野公時なる人物の活躍が脚色され伝説化したのではないかという説が有力なようです。



公時神社からはなだらかな登り。途中に金太郎伝説に関係する「手毬石」や「蹴落石」そして「金時宿り石」などの巨岩があるほか、公時神社の奥の院があります。特に、宿り石は5-6メートルあろうかという巨岩が真ん中でパックリと割れており、なかなか見ごたえがあります。割れたのは1931年の冬と意外に最近で、厳寒が理由ではないかとのこと。
もともと公時神社が位置していたという奥の院は登山道から若干外れた場所にありますが、登山道から3分くらいしか離れていませんので、よほど急ぎでなければ立ち寄ってみるとよいのではないでしょうか。奥の院への分岐入口には「増水による崩落個所がある」というような注意書きがあり、なにやら登山者をビビらせにかかってきますが、まったく危険な個所はありません。金時山のモチーフ? といえるまさかりも奉じられています。
宿り石くらいまでは、おそらくハイカーではない観光客がやってくることを想定しているのだと思いますが、石ころすら落ちていないのでは? というレベルでよく整備されています。歩きやすさでいうと観光地である高尾山あたりと同格でしょう。ただし途中で一カ所、車道 (神奈川県道731号矢倉沢仙石原線、はこね金太郎ライン) を横断する必要があるため注意が必要。







宿り石を過ぎると、若干ゴツゴツした路面も出てきますが、やはり歩きやすさは変わらず。徐々に高度が上がってくると、杉の人工林を抜けて、徐々に開放感が出てきます。場所によっては木々の合間から芦ノ湖まで続く箱根の街並みや箱根外輪の山々を望むことができることも。木々が途切れて青空が見えたら、間もなくジャンクション地点です。
ジャンクション地点では、金時山登山口から登ってくる登山コースと合流します。これは金時登山口バス停から仙石原の別荘地を抜けて、大倉沢峠を経由して登ってくるというコース。公時神社よりも仙石原バス停に近い場所に登山口があるため、公共交通機関でアクセスするハイカーはよく利用しているんじゃないでしょうか。












金時登山口コース合流地点から金時山山頂
合流地点を過ぎると、山頂に向けた本格的な登りがスタート。とはいえ、急登といえるほどの傾斜のある区間はありませんし、ずっと登りっぱなしではなく、短いながらも平坦区間を挟みながらの登りです。初心者ハイカーでも無理なく登ることができるでしょう。
また、山頂までの区間も階段等でよく整備されています。金時山は山頂が溶岩が露出したゴツゴツした山容ですが、途中の登山道上には浮石などもほとんど落ちていないため足元の注意が必要な個所はさほどありません。登山者がすれ違いしやすいように、階段が左右に分けて設置されているという親切具合です。







金時山の山頂は標高わずか1,212メートルしかありませんが、溶岩地帯ということと強風地帯であるということからか、植生が薄く見晴らしがとても優れています。なんといっても最大の見どころは御殿場の街並みを挟んでドーンと鎮座する富士山ですね。よくよくみると、富士山の右手には南アルプスの一部と、南八ヶ岳の山並みも顔を覗かせています。また、南側には箱根の街並みを挟んで、やはり活火山である箱根の最高峰、神山 (標高1,438メートル) を望むこともできます。
山頂には「金時茶屋」と「金太郎茶屋」という2つの山小屋が並んで営業しています。1つの山頂に2つ小屋があるというのが、この山の人気ぶりを示していますね。この日は金時茶屋はお休みのようで、金太郎茶屋のみ営業。ここは「まさカリーうどん」なるカレーうどんが名物で、10時頃という早めの時間帯にも関わらず食欲をそそられるカレーの香りが漂っていました。ただ、我々は下山後に小田原でラーメンを食べる予定だったので、我慢して金時山を後にします。







金時山山頂から乙女峠を経由して下山
金時山からは、乙女峠へ向かうコースを下ります。乙女峠方面は、公時神社と比べると山頂直下がやや険しいですね。よく整備されているのは変わりませんが、狭い階段や段差の大きい岩場なども出てきますので、登山初心者が通過する際には少し注意したほうがよいかもしれません。
いったん金時山直下の急傾斜区間を過ぎてしまうと、あとは外輪山のなだらかな稜線歩きとなります。もちろん細かいアップダウンはあるのですが、低木に囲まれた平坦区間は稜線歩きならではの楽しさがあります。また、あまりメジャーなコースではないため、すれ違うハイカーはまばらな一方、金時山自体が人気のエリアなので人の気配がまったくないというほどでもないという、いい塩梅の静寂さを楽しめるのが良いですね。
ガチ登山者であれば人っ子一人いないようなドマイナーなコースも楽しめると思うのですが、私のようなカジュアルハイカーだと、万が一なにかあったときに助けになってくれるハイカーが誰も通らないというのはちょっと不安だったりもします。あと、ここ数年は熊の出没も増えているので、人が多少なりとも多いほうが安心というのもありますね。





長尾山まではずっと似たようなアップダウンを挟みつつの稜線歩きですが、途中、南側の展望が開けた区間があり、金時山山頂と同様に、箱根山をよく望むことができます。一方で、外輪山の外側となる北側、西側はほとんど展望が樹木で遮られているため、富士山を眺めながらの稜線歩きは叶いません。
何度かアップダウンを繰り返していると、長尾山の山頂に到着。金時山山頂を後にしてから通過してきた幾つかの小ピークと標高はさほど変わらないため、気付いたら到着していたという感じの山ですね。山頂が休憩にちょうどよい広場になっているので気付くことができますが、人によっては看板を見落としてそのまま通過してしまいそうです。
写真撮影するのを忘れていましたが、ここでコーヒー休憩をとっています。金時山山頂は火気厳禁でバーナーが使えなかったため、2025年夏のAmazonセールでジェットボイルを購入したので試しに使ってみたのですが、すさまじい早さでお湯が沸いて驚愕。これは山頂でラーメン作っている人が軒並みジェットボイル使っているのも頷けます。冬の寒いなかでお湯を沸かすの結構つらいもんなあ。
広場付近には小鳥の群れがいたので、せっかく持ってきたのだからと望遠レンズを構えてみましたが、とにかくすばしっこく、ファインダーに捉えることができず仕舞いで終わりました😢












長尾山を過ぎると、乙女峠はすぐそこ。なだらかな下りを15分くらい歩いていくと到着です。乙女峠は「富士見三峠」のひとつに数えられるだけあって、富士山をよく望むことができ、小さな展望デッキも設置されています。ただ、展望デッキに登っても微妙に木々が写真のフレームに入ってしまうので、金時山山頂からの眺めには敵いませんね。
ここには乙女茶屋という山小屋の廃墟が残されています。2010年頃までは営業していたようですが、金時山から乙女峠までのコースを歩いてすれ違ったハイカーの人数を考えると、廃業するのも宜なるかなというのが正直なところ。同じ金時山周辺にある足柄峠のように、マイカーで直接アクセスできるならともかく、徒歩道、しかもメジャーな登山コースから外れていますからねえ💧






乙女峠からは、外輪山に沿って丸岳方面へ続く縦走路も伸びていますが、我々はここで下山。乙女峠から国道138号線までは40分程度といったところでしょうか。今までの区間と同じように急傾斜はありませんが、さすがにここの登山道は金時山周辺ほど整備されておらず、石礫があちこち落ちています。特に初心者の方は、疲労と相まって毛躓かないように注意ですが、滑落するような危険個所はありません。
だらだら登山道を下っていき、うっそうとした杉の人工林に入ると、国道はもう間もなく。登山道が国道138号線の乙女トンネル出口真横を通っているので、このへんまで下ってくると人里という雰囲気が色濃くなってきます。あとは国道138号線を公時神社までてくてく歩いて本日の行程終了です。なお国道138号線は交通量が多く、大型の観光バスなどもよく走っている割に歩道がまったく整備されていないので、通行時は注意しましょう。





公時神社から周回する金時山、長尾山の感想
ということで、公時神社から金時山、長尾山、乙女峠を周回する山行記録をお届けしました。
アクセス良好かつ手軽に登ることができる山ということで人気の金時山ですが、今回のように金時山から長尾山への縦走を絡めることで、山頂からの眺めだけでなくて平坦区間の稜線歩きも楽しむことができるようになります。金時山にさえ登ってしまえば、縦走につきもののアップダウンもさほど激しくないので、初心者でも無理なく踏破できるコースです。
今回はマイカーでのアクセスだったので、公時神社から登って反時計回りに乙女峠から下山するコースでしたが、公共交通機関でアクセスするのであれば、小田急ハイウェイバスで乙女峠バス停 (乙女峠の御殿場側) または乙女口バス停 (乙女峠の箱根側) にアクセスし、金時山まで縦走して仙石原に下山するというコースも良さそうですね。
なお、金時山からは明神ヶ岳へも縦走可能ですが、かなりコースタイムが延びる (距離11キロ、獲得標高1,000メートル、標準コースタイム7時間前後) ので、初級者ハイカーくらいになってから挑戦したほうが良いと思います。



山行当日の装備
この日は金時山山頂で6時時点の最低気温0℃、15時時点の最大風速7メートルという予報。
ファイントラックの「ドライレイヤーベーシックロングスリーブ」 に、同じくファイントラックの冬用ベースレイヤー「メリノスピンサーモ」を着用。そのうえにやはりファイントラックの冬用フリース生地ミッドレイヤー「ドラウトレイジャケット」、アウターとしてアークテリクスの汎用ソフトシェル「ガンマLTフーディ」という出で立ちでした。
登山口はかなり寒く「このまま車内でぬくぬくしていたい…」と思うほどでしたが、いざ行動開始するとあまり寒さは感じずに登ることができました。山頂での風も、我々が到着した10時頃は穏やかで、特に風による寒さも感じずに風景撮影に勤しむことができました。ただ、山頂到着してからしばらくすると風が少し強くなってきたように感じましたので、午後はもう少し風による冷えを感じたかもしれません。我々は山頂であまり長居しないタイプですが、山頂でのんびり休憩したいという人は念のためダウン・化繊系のミッドレイヤーを持っておくと良いのではないでしょうか。
こちらは2025年時点では廃盤となっているドラウトレイの後継モデルとなるドラウトソルジャケット。ファイントラックらしく、厚手の生地にも関わらず発汗による湿気を素早く生地の外側へと発散させることを訴求ポイントに置いた冬用のミッドレイヤーです。この日はさほどハードな運動はしていませんが、朝のハイクアップから日が昇って暖かくなってからの稜線歩きまで終始快適に過ごすことができました。
登山道具
| ベースレイヤー | finetrack ドライレイヤーベーシックロングスリーブ finetrack メリノスピンサーモ ジップネック |
| ミッドレイヤー | finetrack ドラウトレイジャケット |
| アウターレイヤー | Arc’teryx ガンマLTフーディ |
| パンツ | Arc’teryx モデル名不明のパンツ |
| アクセサリ | finetrack フラッドラッシュEXP グローブ |
| シューズ | Salomon ULTRA 4 MID GTX |
| リュックサック | Osprey Mutant 22 |
撮影道具
| カメラ | Sony a7S III Sony a7R III Sony a9 Olympus OM-D EM1 Mark2 |
| レンズ | Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM Vario-Sonnar T* 16-35mm F2.8 ZA SSM Zeiss Batis 2/40 CF LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm F2.8-4.0 ASPH. |
| アクセサリ | Slik スプリント MINI II |

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